教えて!ドクター

日本人の2人に1人ががんになる時代。早期発見すれば治るがんが増えましたが、進行した状態で見つかることもあります。「より良い治療を受けたい。できることなら治したい」と望むとき、あなたはどんな行動を取りますか? 太田市高林西町、県立がんセンター院長の鹿沼達哉さんは「人は、自分にとって都合のよい情報を信してしまう傾向があります。偏った情報(治療法)に流されないよう、日ごろからがんについて学んでおくと役立ちます」と助言します。


がんが見つかったら、 どう行動する?

まずは病状をしっかり把握

県内にはがん医療の拠点となっている病院が17カ所あり、相談支援センターが設けられています。検診などでがんが疑われたり診断されたら、自宅の近くにあるがん拠点病院へ行くか、かかりつけ医に紹介してもらいましょう。いきなり都内の大きな病院に行く人もいますが、週単位で急速に進行するがんはまれです。まずは自分の病状について把握することが大切です。

治療を始める際、医師に確認してほしいのは①がんの進み具合(進行度、病期)②提案された治療法と、それに代わる治療法。それぞれの治る確率と体への負担(治療による副作用など)③同じ状態の患者さんの平均余命、生きられる見込み―です。

医師は「標準治療」とされている治療法を勧めます。科学的な根拠に基づいて治療効果が確認されている現時点での最良の治療で、「ゴールデン・スタンダード」とも呼ばれています。

優れた治療は保険効かない!?

医師から説明された治療法に納得がいかない場合、セカンドオピニオン(担当医以外の医師の意見)を求めることもできます。得られた意見を参考に、担当医と再び治療方針について話し合いましょう。インターネットや書籍などの情報は玉石混交です。国立がん研究センターの「がん情報サービス」など、信頼できる情報源にアクセスすることが大切です。

「歯科治療の義歯やインプラントのように、治療費の高い自由診療のほうが優れた治療ではないか。最新治療は高額なので保険が認められないのでは」と思う人もいるでしょう。しかし、がんの場合は最先端の治療が必ずしも「最も優れた治療」とはいえません。効果や安全性を検討する臨床試験を経て、従来の標準治療よりも優れていることが分かった時点で厚生労働省はその治療法を認可します。高額な薬や治療法であっても保険適用となり、次世代の「標準治療」として位置づけられます。

命をつなぐ治療法を選択

残念ながら治療の途中で抗がん薬が効かなくなったり、治る見込みがないがんも存在します。この場合、痛みや不安など心身の症状を取り除いて、できるだけQOL(生活の質)を下げないための緩和ケアを行います。

がんになっても人生が180度変わるわけではありません。それまでの生き方やポリシーをもとに、これからの時間の使い方を考えながら命をつなぐ治療法を選んでほしいと思います。日ごろから大事な人と「もしも、がんで余命宣告されたら」と考えたり、話し合っておくことも大切です。