元気流儀インタビュー

人工の壁や岩をよじ登るスポーツクライミング。2020年の東京五輪の正式種目に決まり、注目が集まっている。関東地方は有力な選手が集まる激戦区。細野かおりさん=前橋市=はボルダリング群馬カップのオープン女子クラスを5度制覇し、2年連続でワールドカップ日本代表に選ばれるなど、国内外で実績を残している。競技生活と並行する形で、楽しく安全なクライミングを広めようとインストラクターとして全国各地を巡り、競技人口の拡大に力を入れている。


壁乗り越え 理想の体つくる

集中力も競技結果を左右する重要な要素。 自分の登る姿をイメージしながらしっかりとホールドを握る細野さん

頭をフル回転

―クライミングに出合ったのは20歳の時。通っていた動物専門学校の近くにあったクライミングジムへ友人の誘いで一緒に行ったのが始まりだった。元々スポーツが好きで、高校時代は陸上競技に取り組んでいたので、体力には自信があった。登り切った時の達成感を味わうのが好きで、クライミングにのめり込んだ。

運動は得意だったので、初めからそれなりに登れましたが、どうしても登れない壁に出合いました。何度も何度も挑戦するうちに力任せに登るのではなく、足の置き方や体のねじりを考えながら登ることに気付くと登れるようになりました。クライミングの奥深さを感じました。クライミングは負けず嫌いな人に向いているスポーツかもしれません。色とりどりの突起物(ホールド)の形を見て、ホールドをつかむ際の体の向きや動きをイメージして登ります。頭をフル回転させるので、知恵の輪のような面白さがあります。ジャンプしないとつかめないホールドもあるので判断力も大切です。そのハラハラ感も楽しみの一つです。

クワの葉で健康維持

お互いに知らなくてもクライミングを通してコミュニケーションが深まり会話も弾む

―クライミングは上半身の筋力を使って体を引き上げ、下半身や体幹の力でバランスを維持する動作を長時間繰り返すので、筋力と心肺機能を高められる健康的なスポーツでもある。細野さんは成績向上やけがの予防のため、体調と体重管理にも気を配っている。

クライミングに熱中して、短期間に15キロ痩せた人もいました。ダイエットが目的というよりも壁を攻略していくうちに体つきも変わっていったようです。難しいスポーツだと思う人もいるでしようが、ちょっとした動作の繰り返しなので、運動が不得意な人でも登れるようになります。難易度の優しい壁もあるので、体力や体格に応じてさまざまな登り方ができるのが魅力です。壁に挑めば挑むほど、それまでの経験が糧になって技術が磨かれてきます。自分の成長を実感できるスポーツです。

体調管理のため、朝起きてすぐ歯を磨いてコップ1杯の水を飲んだり、お腹が空いてない時は無理して食べずに体の声を聞いて、運動量に見合った食事量にしています。最近は毎食前、クワの葉が入ったメディカルハーブを飲んでいます。クワの葉は食後の血糖値の上昇を抑える効果があり、腸内環境を整えるので体の内側から健康になったような気がします。

安全も広める

ホールドを取り付けて、登るコースを設定(セット)する細野さん

―五輪種目になり、スポーツクライミングの注目度が高まり、各地でジムの開設やクライミングウォールの設置が進んでいる。本県でも前橋市のALSOKぐんまサブアリーナに大規模な大会にも対応できるクライミングウォールが完成した。細野さんは今までの経験や技術を生かし、全国各地のジムなどで壁のプロデュースに携わっている。

全国各地にクライミングできる場所が増えることはうれしいですが、正しいルールやマナーが理解できる競技者を育てていくことも重要だと思っています。設立前のジムでは壁のプロデュースとともにスタッフの教育を担当することもあります。クライミングを遊びと捉える人もいますが、危険が伴うスポーツということを理解してほしいと思います。けがを防ぐための安全対策が重要です。他のスポーツと同じように事前のストレッチなど念入りにするように教えています。

セットは登る時をイメージしながらホールドをレイアウトしています。最近はメディアなどで注目される機会が増えてきたと実感しています。挑戦する子供も増えてきました。クライミングはコミュニケーションが楽しいスポーツです。初めて会った人同士でも一生懸命登る姿に声援やアドバイスを送り合ったりします。あまり難しく考えないで、まずは登ってほしいと思います。