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群馬県のニュース

老舗2店 歴史に幕 丸十ベーカリーと赤羽楽器 

更新日時:2016年3月1日(火) AM 06:00
 長く群馬県の前橋、高崎両市の中心街で営業し、市民に愛された2店の老舗が29日、最後の営業を終えた。名残を惜しむように、大勢の市民らが店を訪れた。

◎思い出の味求め行列…前橋の丸十ベーカリー
 前橋市本町のパン店「丸十ベーカリー」が29日、84年の店の歴史に幕を下ろした。午前8時の開店を前に長蛇の列ができ、閉店を惜しむ常連客らが慣れ親しんだ味を買い求めた。

 午前5時45分ごろから並んだという会社員、富沢久美子さん(56)=同市江田町=は中学生の頃から店に親しんできた。閉店を受け、「『お疲れさま。本当にありがとう』と言いたい」と涙ぐんだ。同店の食パンを使ったサンドイッチやトーストを提供していた近くの喫茶店店主、北原雄一郎さん(63)は「優しい味のパンがお客に人気。これからどうしよう」と話した。

 29日は通常の2倍の約1500個のパンを作ったが、大勢の客が詰め掛け、午前10時半ごろには売り切れて閉店。その後も「あいさつだけでも」と、多くの常連客らが訪れた。

 店主、木曽正一さん(80)の妻、正子さん(80)は「支えてくれた従業員、何度も足を運んでくれたお客さん、みんなに感謝したい」としみじみ語った。

◎合唱で別れ惜しむ…高崎の赤羽楽器
 1912(大正元)年に創業した高崎市あら町の「赤羽楽器」が29日、常連客に惜しまれつつ104年の歴史に幕を下ろした。

 閉店は、3代目社長の赤羽正幸さん(72)が体調不良と後継者不在を理由に決断した。29日は午後3時半ごろから、高崎第九合唱団や合唱団「JOY」のメンバー約20人が店を訪れ、社長らに花束を贈呈。全員で童謡「赤とんぼ」を店内で合唱した。

 高校生の頃から通い続けているという倉林康夫さん(67)=同市飯塚町=は「小遣いをためて最初にギターを買った店。とても残念だ」と惜しんだ。29日に最後のクラシックギターを購入した主婦、飯塚圭子さん(58)=伊勢崎市柴町=は「宝物にして、これからも家族で音楽を楽しみたい」と喜んだ。

 閉店は1月下旬以降、口コミなどで広がり、駆け付けた大勢の客がレコードや楽譜、ギターなどを購入。楽器類はほぼ完売した。

 赤羽社長は「店は閉店するが、高崎の音楽文化は永久に続いていく」と目に涙を浮かべていた。


※専用アプリ「上毛新聞AR」を使って写真にスマートフォンをかざすと動画が見られます。

※詳しくは「上毛新聞」朝刊有料携帯サイト「上毛新聞ニュース」でご覧ください。

丸十ベーカリーのパンを買い求める人たち

 

最後の営業日に、温かなハーモニーが響き渡った赤羽楽器