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群馬県のニュース

3年生芳沢尚人 難聴乗り越え上武大野球部1軍挑戦 

更新日時:2017年2月10日(金) AM 06:00
 群馬県の大学野球の強豪、上武大で難聴のハンディを抱える3年生外野手がベンチ入りを目指して奮闘している。利根商高出身の芳沢尚人。昨秋の新チーム始動後に練習試合で結果を残し、初めて2軍に上がった。特に打撃と走塁に自信を持ち、「まずは代打で1軍に上がりたい」と努力の日々を送る。

◎シュアな打撃走塁が持ち味
 芳沢が難聴を発症したのは生後間もない頃、高熱が原因だった。両耳には補聴器を付けているが「言葉」は聞こえない。今も、わずかに聞こえる音と唇の動きを頼りに周囲と会話する。

 野球と出合ったのは小学4年生の時だ。先に始めた兄の勧めで地元の軟式学童「月夜野イーグルス」に入って夢中になった。中学ではエースとして活躍し、利根選抜にも選ばれた。

 外野手に転向した高校時代の最後の夏は県大会3回戦でサヨナラ負け。本当はそこで野球をやめるつもりだったが、上武大の谷口英規監督から声がかかって悩んだ。最後は父の利行さんの「やりたいようにやってみろ」に背中を押され、飛び込んだ。

 寮に入ったものの、最初は不安が的中した。目覚ましの音が聞こえず朝の点呼に間に合わなかったり、補聴器を見て話し掛けてくる先輩に返事ができなかったり。「自分の障害を知らない人たちとのコミュニケーションも難しかった」

 大変なことの方が多かった。だが、やめようとは思わなかった。持ち前の明るさでチームメートと接し、指導内容が聞き取れなかった時には周りの動きを見て察した。工夫の積み重ねは実を結び、日に日にチームに溶け込んでいった。

 入部してすぐ3軍になったが、練習も腐らずやった。自主練習で500スイング以上を課し、部屋では動画サイトでトップ選手の映像から技術を盗んだ。成果が出たのが昨秋だった。

 明治神宮大会後のオープン戦5試合で8打数5安打とシュアな打撃を見せ、50メートル6秒フラット、一塁まで3秒台で走る俊足で盗塁も決めた。初めての2軍昇格。「諦めずにいてよかった。自信になった」とうれしそうに振り返る。

 4季連続全国大会4強の主力が残っており、まだ1軍は遠い。それでも諦めるつもりはない。「自分にはアピールポイントがあるので」。障害を言い訳でなく、強みに。挑戦を続ける覚悟はもう決めている。

 よしざわ・なおと 1995年6月生まれ。みなかみ月夜野中―利根商高。右投げ左打ち。183センチ、83キロ。

※詳しくは「上毛新聞」朝刊有料携帯サイト「上毛新聞ニュース」でご覧ください。

難聴を「強み」に上武大でレギュラーを目指す芳沢