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群馬県のニュース

「何もない」から成長を 田中仁さんと糸井重里さん対談 

更新日時:2017年4月22日(土) AM 06:00
 前橋市のまちづくりを考える「まえばしめぶくトーク」が21日、同市の前橋テルサで開かれた。共に同市出身で、眼鏡チェーンを展開するジンズ社長の田中仁さんと、コピーライターの糸井重里さんが対談。約400人の来場者を前に、行政と民間が協力して昨年8月に発表したまちづくりの指針「前橋ビジョン」などについて語り合った。

 田中さんは「民間人一人一人が主体的なプレーヤーになる必要がある。ビジョン発表後、多くの活動が生まれているが、もっと増やしていくことが課題だ」と語った。目指すべき都市像について「他のまちと比較するのではなく、自分たちがどうしたいかという視点に立つことが重要だ」と指摘した。

 糸井さんは、一般的な地域活性化の手法が地元の名所、名物などを生かそうとしている点を批判。「自分たちの地域には何もないと思うところから始めないと、本当の成長はできない。売れるものを生み出すアイデアこそ大切だ」と述べた。

 糸井さんは市の再生に対する田中さんの思いに共感してビジョンの策定に協力。ビジョンは海外コンサルタントの調査結果に独自の解釈を加え、「めぶく。」という言葉で表現した。市が21日明らかにした2018~27年度の第7次総合計画の骨子案でも、基本理念に位置付けられた。

 トークは田中さんが代表理事を務める財団が主催し、今後も2カ月に1回のペースで開く。

◎糸井氏「今がだめと認識を」 田中氏「民間の力をもっと」
 前橋の新しいまちづくりを考えるトークショー「まえばしめぶくトーク」で、糸井重里さんは古里・前橋に対する思いを本音で語り、「何もないという認識から始めないと成長はない」と強調した。田中仁さんはこの意見に賛同し、「日本一の前橋をつくっていこう」と呼び掛けた。

 糸井さんは「きょうは悪役をやりに来た」と宣言。田中さんが「前橋には昭和の古い街並みが残っており、どこにでもある画一的な地方都市ではない」と水を向けると、糸井さんは「戦後に急いで造った建物だけでは無理がある」とバッサリ。「古里は良い所だと思いたがり、『うちは特別だ』という意識では前に進めない。何もないと思った方が良い。今がだめだと認識し、欲張って、もっと上を目指してほしい」と述べた。

 糸井さんは農業の6次産業化がもてはやされる現状に、「全国どこでも同じようなジャムを作っている。それは銀座で本当に売れるのか」と疑問を投げ掛けた。被爆した広島が戦後、どこにでもある材料で作るお好み焼きを名物にしてまちづくりを進めたことや、仙台名物の牛タンは豪州の牛肉を使っていると事例を挙げ、「地元産にこだわる必要はない。アイデアと中身が重要」と強調した。

 田中さんは「自分たちがまちづくりのプレーヤーになろうという、民間のエネルギーがまだ足りない。日本一になれるものは何かを探していくべきだ」と述べ、起業家がビジネスプランを発表するイベント「群馬イノベーションアワード」が高い評価を得ていると紹介した。

 田中さんの求めに応じて登壇した山本龍市長は「市民主導で前橋ブランドをつくっていくしかない。皆さんが力を発揮できるよう調整したい」と話した。

※詳しくは「上毛新聞」朝刊有料携帯サイト「上毛新聞ニュース」でご覧ください。

「前橋ビジョン」について語り合った糸井さん(左)と田中さん   

 

(左から)「日本一の前橋をつくっていこう」と呼び掛ける田中さん、古里・前橋に対する思いを本音で語った糸井さん