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群馬県のニュース

《追跡》坂東工業団地 土壌汚染問題 水道水は住民不安 

更新日時:2017年6月1日(木) AM 11:00
 群馬県企業局が販売した坂東工業団地(渋川市北橘町)の土壌から、国の環境基準(1リットル当たり0.01ミリグラム)を上回るテトラクロロエチレンが検出された問題が長期化している。この有害物質は地下水を汚染。上水道の水源井戸での検出を受け、前橋市水道局が田口浄水場に除去装置を導入して30年近くが経過した。除去によって水道水は十分な安全性が保たれているとはいえ、周辺住民からは不安や早期解消を望む声が上がっている。

 田口浄水場が毎月実施している水質検査で、2016年度は稼働する6水源のうち3カ所でテトラクロロエチレンが検出されている。いずれも基準を下回るものの水源の一つは1リットル当たり0.005~0.007ミリグラムで推移し、別の水源は0.006ミリグラムの検出が5回などと、微量の検出が継続している。

 汚染土壌のある団地はもともと利根川の河川敷だ。河川形状変更に関する県許可の手続きを経て、1961~63年にかけ、渋川市の化学工場から排出されたテトラクロロエチレンを含むカーバイドかす(主成分・消石灰)4100トンが埋め立てられた。

 当時の廃棄物処理に関わる法律は埋め立てを禁じておらず、水質汚濁防止法などによるテトラクロロエチレンの規制は89年に始まった。

 県企業局が団地造成し分譲、販売した時期はテトラクロロエチレンの法規制が始まる約10年前。2006年には、進出企業などが県を相手に工場移転費用などの損害賠償を求める民事訴訟を起こしたが、前橋地裁は「埋め立て許可や分譲時に土地の汚染まで予見するのは困難だった」として、原告の請求を棄却した経緯がある。

 田口浄水場では、工業団地から約1キロ離れた水源井戸で基準を超えるテトラクロロエチレンの検出が続き、市水道局が1989年に除去装置を導入した。原水からの検出は収まらず、2007年10月に井戸の一つを停止。周辺調査をした県は08年5月、地下水の汚染原因が団地内のカーバイドかすだと断定している。

 同浄水場は同市の田口町や関根町などの約9800世帯に水道水を供給しており、市水道局は「処理後は基準の10分の1以下で、安心して飲んでもらえる状態」と強調する。一方で、装置の設置や点検、電気代などに累計約1億6000万円が費やされ、担当者は「市も汚染の被害を受けている」と嘆いた。

 周辺住民の受け止めは深刻だ。子育て中の30代の女性は「安全だと言われても不安」と眉をひそめる。約25年前から田口町に住んでいる50代の女性は「土壌汚染はこの地域に限った問題ではないし、引っ越すわけにもいかない。市にはこれまで通り安全な水を供給してほしい」と要望した。

※詳しくは「上毛新聞」朝刊有料携帯サイト「上毛新聞ニュース」でご覧ください。

有害物質を含むカーバイドかすが埋設されたままになっている渋川市の坂東工業団地