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群馬県のニュース

草津・湯畑 国名勝に 県内8件目、誘客に追い風 

更新日時:2017年6月17日(土) AM 06:00
 国の文化審議会は16日、草津温泉の湯畑(群馬県草津町草津)を名勝に指定するよう松野博一文部科学相に答申した。近く答申通り告示される見通し。群馬県内の国名勝は8件目となり、2000年に指定された大名庭園の楽山園(甘楽町)以来、17年ぶり。温泉地関連では「別府の地獄」(大分県別府市)に次いで2例目となる。群馬県を代表する観光地、草津温泉のシンボルと位置付けられる湯畑の名勝指定は誘客への追い風になりそうだ。

 湯畑は、草津温泉の中心部に位置する源泉地で、約52度の強酸性の源泉を毎分4000リットル湧出する。源泉を冷ます7本の木製の湯樋や湯滝、滝つぼで構成され、面積は約1100平方メートル。旅館や共同湯など町内80カ所以上に湯を供給している。

 内部に徳川幕府8代将軍、吉宗への献上湯をくみ上げたとされる「御汲上(おくみあ)げの湯枠」が残る。1975年に芸術家の岡本太郎さん(11~96年)らの設計で石柵が設けられた。

 湯もみや時間湯など独特の湯治文化を形成したほか、草津を象徴する他に例のない景観で、観賞上の価値が高いと評価された。

 町は2014年度、有識者でつくる調査指導委員会を設置し、名勝指定に向けた調査を実施。委員を務めた県文化財保護審議会副会長の村田敬一さん(68)は「江戸時代には湯畑の内部に入浴できる場所があった。単なる源泉ではなく草津温泉の始まりの地で、日本の温泉文化の歴史を物語る貴重な場所だ」と説明している。

 草津温泉は、室町時代の15世紀後半には温泉地として広まり、大名が訪れるなど湯治場として栄えた。近年はおよそ年間300万人が訪れている。

 湯畑を含めて告示後の国名勝は408件となる。県内では楽山園のほか、妙義山=富岡市・下仁田町・安中市、躑躅(つつじ)ケ岡(ツツジ)=館林市、吾妻峡=東吾妻町・長野原町、吹割渓ならびに吹割瀑(ばく)=沼田市、三波川(サクラ)=藤岡市、三波石峡=同=が指定されている。

 文化審議会は同日、旧石器時代の存在を明らかにした岩宿遺跡(みどり市笠懸町阿左美)について、同市教委の発掘調査で石器5点が見つかったとして、東側の約2000平方メートルを史跡に追加指定するよう答申した。追加指定後の面積は約18万9000平方メートルとなる。

湯治文化知って
 黒岩信忠草津町長の話 町のシンボルがこうした評価を受けるのは大変光栄。さらに多くの人に足を運んでもらい、時間をかけて湯畑を中心に温泉街が発展し、湯治文化が形成されてきたことを知ってもらいたい。

 【名勝】史跡、天然記念物と並び、文化財保護法に規定される「記念物」。庭園、峡谷、山岳、温泉などで芸術上または観賞上の価値が高いものを国などが指定し、保護する。現状を変更する行為に許可申請が必要となる一方で、維持管理費や整備費が補助の対象となる。史跡は、貝塚や古墳といった遺跡で歴史上または学術上価値の高いもの、天然記念物は動物や植物、地質鉱物で学術上の価値が高いものを指定する。国指定で特に重要とされると特別名勝、特別史跡、特別天然記念物となる。

◎御座之湯再建、周辺の電線埋設 一体整備が奏功

 湯畑が国の名勝に指定される見通しとなったことに、地元の草津町では観光振興を期待する声が上がった。湯畑周辺で整備が進む中、“湯の街”は若者ら新たな客層を取り込む対策に動いている。草津白根山の「湯釜」周辺への立ち入り規制も緩和され、関係者は豊富な観光資源を生かした誘客に力を入れる。

 「湯畑だけでなく、周辺整備まで含めて評価されたと思う」。黒岩信忠町長は胸を張る。湯畑を中心とした街並みは優れた景観が認められ、国土交通省の本年度の「都市景観大賞」で大賞に輝いた。この日都内で表彰式があり、二重の喜びに包まれた。

 魅力向上を目指す町は、2013年の有料共同湯「御座之湯」の再建をはじめ、観光施設「熱乃湯」の建て替えやライトアップなど、湯畑の周辺整備に力を入れてきた。現在も電柱の地中化が進む。

 こうした努力が観光振興につながり、一時は約265万人まで落ち込んだ年間観光客数は、昨年度に約308万人まで回復した。リピーターはもちろん、最近は若者の姿も目立つという。

 15日には草津白根山の立ち入り規制範囲が緩和され、「湯釜」が見学可能となった。草津温泉観光協会は「地元の観光資源を十分生かせる環境が整った」と期待を込める。

 旅館関係者は宿泊者の増加に向け、起爆剤としたい考えだ。望雲の黒岩裕喜男社長は「湯畑のブランド力が高まり、宣伝できる話題がまた増えた」と喜ぶ。草津スカイランドホテルの女将(おかみ)、小林由美さんは「これをきっかけに、湯畑だけでなく草津温泉街全体の魅力を伝えていきたい」と強調した。

 16日に大阪府堺市から妻と訪れた越野泰地さんは「湯畑を初めて見て感動した。独特のにおいも『温泉地に来たんだ』と実感させてくれて良い。このシンボルをこれからも大事に残してほしい」と話した。

 【お知らせ】アプリ「上毛新聞AR」をインストールしたスマホやタブレットをこの写真にかざすと、動画を見ることができます。この機会にぜひお楽しみください。

※詳しくは「上毛新聞」朝刊有料携帯サイト「上毛新聞ニュース」でご覧ください。

国名勝に指定されることになった草津温泉の湯畑

 

 

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