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《全国高校野球群馬大会決勝》健大高崎 反撃届かず 粘り強さ 最後まで 

更新日時:2017年8月23日(水) AM 02:32
〈前橋育英 6―4 健大高崎〉(上毛新聞敷島)

 整列を終え、ベンチ前で校歌を聞き終えると、健大高崎の選手たちはいつものように深く、長く一礼した。力は出し切れなかったかもしれない。でも健大は最後まで、健大らしさを貫いた。

 4年連続で挑んだ夏の決勝の相手は、因縁の前橋育英。接戦かつ熱戦たらしめたのは、逆境でも諦めない粘り強さがあったからだろう。

 先制された直後、三回1死で小野寺大輝がぼてぼてのゴロを内野安打とし、捕逸とタッチアップで三進。「流れを変えたかった」と塁上で揺さぶり、2死から出た暴投で1点を返した。

 3点を勝ち越された六回は湯浅大主将。1死二塁で進塁打を打てず2死一塁と無駄にしかけたが、前橋育英の左腕、丸山和郁の警戒をかいくぐる果敢な二盗で悪送球も誘い、三進した。すると「誰よりバットを振ってきた」と自負する安藤諭が、多くのチームは前に飛ばすこともできなかった丸山の140キロを、レフト前にはじき返した。

 九回の土俵際もしぶとかった。生方啓介ヘットコーチに「諦めなければ何かが起きるぞ」と送り出された先頭の湯浅が、「執念だった」と振り返る一振りで140キロを打ち、安藤が連打で続いて2点差に詰め寄った。

 年明けに湯浅が骨折したのをはじめ、大柿廉太郎、今井佑輔ら主力に故障が続出。チームづくりは順風とはいえず、大会に入っても安里樹羅が足を痛めた。

 それでもオフシーズンから取り組んできた打撃強化は裏切らず、12年ぶりに最多本塁打記録を塗り替えた今大会、何より決勝戦に表れた。だからこそ青柳博文監督がかみしめた。「全国で試してみたかった」。もう1度、甲子園で見たいチームだった。(椛沢基史)

◎下級生「先輩の分も」
 九回裏、無死一塁。代打に送られた健大高崎の2年生、大越弘太郎は二ゴロに倒れた。「大事な場面だったのに。先輩と甲子園に行きたかった」と唇をかんだ。

 この日グラウンドに立った12人のうち、大越を含む4人が下級生だ。選抜甲子園でも活躍した山下航汰、高山遼太郎の2年生2人で7本塁打と、今大会は強力打線を支えてきた。

 中でも昨夏から4番に座る山下は大会記録を塗り替える5本塁打。「打てるかもじゃなくて、絶対打ってやると思うようになった」。初戦から6試合連続の一発はならなかったが、三回、左前打で意地を見せた。

 その山下が心強い存在と評するのが高山。山下が長打を量産する一方で「なかなか打てない時期が続いた」。それでもひたむきに努力してきた成果が花開き、2試合で山下と2者連続アーチ。この日も4打数2安打1打点と気を吐いた。

 5季連続で育英と決勝を戦い、流れたのは今回もライバルの校歌。「とにかく自分に腹立たしかった」と山下。機動破壊をうたうチームでも抜群の俊足が自慢の今井佑輔は「先輩の分も背負う覚悟が必要」と前を向く。まずは秋、必ず借りを返す。(浦野葉奈)

◎足で稼いだ内野安打2本…小野寺
 打ち損じ2本が内野安打となり、暴投の間に三塁を蹴る積極性で反撃ムードに火を付けた。健大高崎の小野寺大輝は決勝の舞台でもアクセル全開だった。

 初回、三回と勢いのないゴロが三塁方向へ転がった間に、50メートル5秒台の俊足をとばした。「塁に出ることしか考えていなかった」という集中が、チームを勢いづけた。

 高校1年の夏は左膝を手術し、2年の夏は右肘痛で棒に振り、やっと立った大舞台だった。苦労を力に変えて、この夏は暴れ回った。

 試合後は「手術もして、1桁の背番号をもらって、支えてくれた人たちに恩返しできなくて申し訳ない」と声を詰まらせたが、チームを救ったプレーは色あせない。

 聖地で本盗を決めた春に負けず劣らず、最後の夏も大きく輝いた。

◎エース伊藤 意地の粘投
 健大高崎の伊藤敦紀が、持ち味の打たせて取る投球で育英打線を封じた。勝利を引き寄せることはできなかったが、ピンチでエースの意地を見せた。

 2点ビハインドで始まった六回。1点を追加され、なお無死一塁でマウンドに立った。「とにかく一球一球集中して投げよう」。犠打で二進は許したが、続く3番を三塁ファウルフライ、4番を見逃し三振と中軸に仕事をさせなかった。

 背番号「10」を着け、同じ育英相手に投げた決勝から1年。大きく成長し、準決勝の農大二戦では強力打線を6回無失点に抑えるなど、与えられた場面に全力で応えた。最終九回には痛恨の1点を失ったが、頼れるエースとして最後の夏を駆け抜けた。

※詳しくは「上毛新聞」朝刊有料携帯サイト「上毛新聞ニュース」でご覧ください。

前橋育英―健大高崎 6回裏健大2死三塁、安藤が湯浅をかえす左前打を放ち3点目=上毛新聞敷島

 

前橋育英-健大高崎 6回裏健大無死、左中間二塁打を放ちチャンスをつくる高山

 

前橋育英-健大高崎 3回裏健大1死二塁、伊藤の中飛でタッチアップして三塁に進む小野寺

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