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前橋育英 初戦突破 春夏合わせ群馬県勢100勝目 

更新日時:2017年3月21日(火) PM 06:58
 【甲子園=椛沢基史、大橋周平、和泉皓也】第89回選抜高校野球大会第2日は20日、兵庫県西宮市の甲子園球場で1回戦3試合が行われ、前橋育英は5―1で21世紀枠の中村(高知)を破り、6年ぶり2度目の出場で初勝利を飾った。この1勝で、群馬県勢の春夏を通じた甲子園での勝ち星は100勝に到達した。次戦は第7日の第1試合(26日午前9時開始予定)で、昨秋の近畿大会ベスト8の報徳学園(兵庫)と対戦する。

 前橋育英は二回に飯島大夢主将、戸部魁人の連打と堀口優河の犠打で1死二、三塁とすると、公式戦初出場の田中宏樹が適時中前打を放って2点を先制。六回にも1死から堀口、田中、2年生の小池悠平の3連打などで3点を加えて大勢を決めた。

 先発の丸山和郁は五回まで無失点で試合をつくり、継投の皆川喬涼もバックの好守に助けられて2回無失点の好投でつないだ。終盤2回は甲子園初登板の根岸崇裕が1失点に抑えた。荒井直樹監督は「投手が3人とも持ち味を出し切って抑えてくれた」と満足そうに振り返った。

 三塁側アルプススタンドには生徒や保護者、学校関係者ら約1000人がバス32台に分乗して会場入りし、熱戦のナインを励ました。福岡県内で大会を終えたばかりのサッカー部員も駆けつけ、声をからした。

 21日に予定されていた大会第3日の1回戦3試合は雨天順延となり、健大高崎は22日の第3試合(午後2時開始予定)で札幌第一(北海道)と対戦する。

◎前橋育英 堅守光る 選抜初勝利
 二つの意味でメモリアルな一戦となった。20日、甲子園球場で行われた第89回選抜高校野球大会第2日の第3試合で、前橋育英は終盤粘った中村(高知)を5―1と振り切った。育英として選抜初、県勢春夏通算100勝目となる勝利に、選手らは満足そうな表情を浮かべた。

 ▽1回戦 中村―前橋育英(14時45分、28000人)
中村(高知)
 000 000 001―1
 020 003 00×―5
前橋育英
(中)北原―中野
(前)丸山、皆川、根岸―戸部

 前橋育英が序盤からのリードを守った。二回、先頭の飯島大夢主将、戸部魁人の連続安打と犠打で1死二、三塁とすると、田中宏樹の中前打で2点を先制した。

 得点圏に2度走者が進むピンチをしのいだ直後の六回、1死から堀口優河、田中の連続中前打と盗塁で二、三塁とし、小池悠平が三塁線を破る二塁打で2点を追加。さらに丸山和郁の適時内野安打で5点目を奪った。

 先発丸山は六回途中まで6奪三振と好投し、継投した皆川喬涼が2回を無失点。3番手根岸崇裕も1失点で抑えた。

◎磨いた連係 ピンチ断つ…六回
 育英は全国制覇に向けて攻撃的な守備を目指し、走者をつけ、場面を想定したノックを重ねてきた。磨き上げた連係で大きなピンチを乗り切ったのだから、この勝利の意味は大きい。

 2点を先制して以降は相手右腕の攻略に苦しみ、走者が出ても追加点を奪えない。六回、この日最大の難局が訪れた。先発丸山が初めて先頭に打ち返され、ここまでと見た荒井直樹監督は皆川にスイッチしたが、直後に一塁けん制が悪送球となって無死二塁。中村応援団のボルテージが一気に高まり、浮足立ってもおかしくない場面だ。

 しかし選手に動揺はなかった。138キロの速球をたたいた相手2番の当たりは遊撃堀口の真正面。「ランナーが飛び出すのが見えていたから」。横目で確認すると迷いなく三塁へ送りタッチアウト。2死一、三塁と再びピンチを迎えても、後続の打球方向を予測し、二塁ベースに寄っていた二塁黒沢駿太が正面で捕球した。「相手打者は振り遅れていたし、左打ちということもあって」と明かした。

 捕球から送球まで、どんな状況にも正確なプレーができるだけの練習を、ナインは積み重ねてきた。そして試合前、飯島主将は「落ち着いてやろう」と声を掛けた。逆転で敗れた昨夏の嘉手納(沖縄)戦、突如流れが変わる恐ろしさをグラウンドで味わった経験が、ピンチで生きた。

 指揮官も「一番大きかった」と振り返る一連のプレーで、流れを相手に渡さなかった。細かいミスはあっても要所を締め、主将は「練習してきたことは出せた」と強調する。ひと冬越えて成長した確かな実力と、それを発揮できる強さが今の育英にはある。(和泉皓也)

◎田中が先制打…公式戦初出場
 ただでさえ緊張するであろう公式戦初出場の初打席が甲子園、しかも1死二、三塁の先制機だ。二回無死一、二塁から送らせた荒井直樹監督の采配が力みにつながりそうなものだが、田中は「なら思い切っていくだけ」と、肝が据わったという。迷いのないスイングは決勝のセンター返しとなった。

 昨秋はベンチ外。だから冬はがむしゃらに走り、バットを振った。「当たり前のことを当たり前にやっただけ」。チームの約束事を地でいく“凡事徹底”が吉沢悠の故障で空いたスタメンの座に、勝負の打席で「やるだけのことはやってきた」と思える開き直りにつながった。

 六回1死一塁の場面ではまたセンター返しで追加点の火付け役となり、盗塁も決めた。監督の信頼に応えたヒーローは、お立ち台に呼ばれると「次も出られれば全力で」。選抜のシンデレラボーイが日本一の原動力となれるか。(椛沢基史)

◎2年生小池が貴重な2点打
 前橋育英の登録選手18人のうち、ただ一人の2年生。上級生を抑えて秋からスタメンに座る小池悠平が、貴重な追加点となる2点適時二塁打を放ち、荒井直樹監督の期待に応えた。

 二回、先制の適時打を放った田中宏樹に続く場面で二ゴロに倒れた。幸い一走の田中がスタートを切っていて併殺は免れたが、波に乗りたいところで続けなかった。

 だからこそ、2度目のチャンスを無駄にはできなかった。ピンチをしのいだ後の六回1死二、三塁。ボールが2球続き、カウントを取りにくるとヤマを張った内角のスライダーを振り抜くと、飛び付く三塁手を置き去りにする強烈な打球が左翼線を襲い、相手を突き放す2点が加わった。

 パワーもあり、引っ張れば左翼フェンスまで運ぶことも珍しくない。前日の練習ではスタンドに放り込む当たりを見せた。日々の打ち込みで「ボールが見えるようになってきた」と自信をのぞかせる。

 本当は変化球は得意ではないが、初の大舞台で大観衆に成長ぶりを見せつけた。「出ている以上は打ちたい。勝利に貢献したい」とどこまでも貪欲だった。(和泉皓也)

◎丸山が好投 5回無失点6K
 前橋育英先発、丸山和郁はマウンドに上がる前から緊張しきりで「心臓ばくばく、膝がくがく」だった。「体ふわふわ」で先頭打者への2球目は死球。ここで気が楽になった。「ゲッツー(併殺)ならリズムが出てちょうどいいか、って」。急にふてぶてしくなった左腕の奪三振ショーが、そこから始まった。

 コントロールは少し粗く、暴投で走者が進んでも構わず直球を投げ込んだ。球速が上がるごとに空振りは増え、3者連続三振で難なく初回を終えると、二回にまたギアチェンジした。

 5番打者から三振を奪って4者連続とすると、続く6番は「手応えがあった」というこの日一番の速球で中飛に打ち取った。見上げた球速表示は「144キロ」。自己最速で気分も調子もさらに良くなった。

 頑張り過ぎたからか、緊張で力みが出たか、五回途中から足がつり、六回先頭にヒットを打たれたところで降板して中堅守備へ。試合後は「きょうは途中で降りちゃったんで」と渋い表情だったが、堂々の5回無失点、6奪三振。選抜初勝利の立役者になった。

 「1番投手」の重責からか、得意の打撃は内野安打1本。「次はもっと打ちます」。力みが取れた次戦、大暴れを誓う。(椛沢基史)

◎チーム救う超美技…皆川のジャンピングキャッチ
 皆川喬涼が大車輪の活躍を見せた。丸山から託されたマウンドは2回を無失点。三回は得点にこそ結びつかなかったが、三遊間を破る左前打にすぐさま二盗と、絶好調だった。

 印象的なのが五回の守備だ。自分の後方へと伸びていく相手先頭打者の大飛球に、タイミングを見計らって勢いよく跳躍し、左手を伸ばして背面キャッチ。ピンチを未然に防いだ。

 一度は浅い当たりと思い違いスタートが遅れたというが、50メートル6.1秒の快足でカバー。「(グラブに)入っただけです」と控えめに喜んでいた。

◎直球に威力 2回1失点…根岸
 身長192センチの本格派右腕、前橋育英の根岸崇裕が八回から甲子園初登板した。今大会の主力3投手で昨夏1人だけマウンドに立てず、「悔しさから気持ちを入れ替えて鍛えた」という最速141キロを武器に2回1失点で試合を締めた。

 入学当初から「(西武の)高橋光成2世」と周囲の期待は高かったが、なかなか結果が出ず。近所の人から叱咤しった激励されることもあったといい、「ここまで来るまで長かった」。

 夏以降は苦手だったダッシュ系のトレーニングに進んで取り組み、殻を破った。「甲子園で投げられて良かった」と喜ぶ顔には、次への意欲もにじんでいた。


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中村(高知)―前橋育英 2回裏育英1死二、三塁、田中の中前打で飯島に続き戸部がかえり2点目=甲子園

 

5回表中村無死、岡本の飛球に飛びつき好捕する前橋育英の中堅・皆川

 

中村(高知)―前橋育英 7回表中村1死一塁、武田の内野ゴロで一走を併殺に仕留める育英の堀口=甲子園

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