文字サイズを変更する
小
中
大
 

三山春秋

2017/01/01【三山春秋】 つる舞う形の群馬県-。「上毛かるた」のこの読み札の優しい響きを聞くと、ほっとする…

 
 ▼つる舞う形の群馬県-。「上毛かるた」のこの読み札の優しい響きを聞くと、ほっとする県民が多いのではないか。地図で群馬を見ると、すぐに空を舞い飛ぶツルの姿が浮かぶのは、小さいころから暗唱し親しんできたからこそだろう

 ▼明治期の郷土唱歌に群馬の形がツルの姿と似ているというくだりがあり、広く歌われたが、戦時中には勇ましいワシ、タカなどに替えられた。このため、もう一度ツルに戻したいと考えたのだという。だが、読み札にはさらに重い意味が込められている

 ▼上毛かるたが誕生して70年になる。終戦直後の混乱期、復興のために、子供たちに明るく希望の持てるものをと、後の二松学舎大学長、故浦野匡彦さんが中心となって1947年12月に完成させた

 ▼浦野さんの長女、西片恭子さんの著書『上毛かるたのこころ』によれば、中国から引き揚げてきた浦野さんが、シベリアに 抑留されていた多くの同胞に向け、ツルのように帰ってほしいとの願いを「つる舞う-」に込めたのだという

 ▼上毛かるたが今も多くの人々の心を引きつけてやまないのは、平和を求める切実な「祈り」が深く刻まれているからではないか

 ▼今年の干支えととり。秩序が崩れ、いさかいが広がるこの混乱の時代を生きるために、優雅に空を舞うツルを心に描き、少しでも心安らぐ社会を目指したい。

  • 上毛新聞を購読する
  • 上毛新聞に広告を載せる
URLを携帯へ転送 右のQRコードから上毛新聞モバイルサイト「じょうもばいる」にアクセスできます