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視点オピニオン21

「外来種」の意味 「人間の都合」も問題

日本蛇族学術研究所研究員 山崎陽平
 
 近年、外来種という言葉を耳にすることが多くなったのではないだろうか。同じような言葉として、外来生物、移入種、帰化種として紹介されていることもある。これらは、いずれも、動物や植物、自然など話題の中で登場する言葉だ。

 外来種とは、「もともとその地域にいなかったのに、人間の活動によって他の地域から入ってきた生物(環境省HPより)」とされている。ちょっとわかりにくいので、いくつか例をあげて紹介しよう。

 アメリカザリガニはもともと日本にいた動物ではない。その名の通り、アメリカ原産の動物である。アメリカザリガニは、淡水で暮らしているため、自力で海を渡って日本にやってきたわけではない。人間が日本に連れてきたのだ。そして、自然の中に放してしまった。これは、わかりやすい外来種の例である。もともと日本にいなかった外国の動物を、日本の自然に放してしまうと外来種として扱われる。

 次の例は、少しわかりにくい。外来種という言葉をみると、「外国から来た種」と思われがちなのだが、それだけではない。もともと日本にいる動物も外来種と呼ばれることがある。例えば、メダカやホタルの放流を盛んに行っている地域がある。しかし、そのメダカやホタルはもともとどこの地域に棲(す)んでいたものなのだろうか。別の地域で捕獲されたものや、業者から購入した産地不明のものを、放流していることがあり、問題となっている。つまり、もともと日本にいる動物でも、他の地域に人間が持ち込み、自然に放してしまえば外来種となる。国内外は関係なく、「外から連れて来られた種」と理解しておくとよいかもしれない。人間の都合で、生物を好き勝手に移動することはやめるべきなのだ。

 今、私たちの身の回りには外来種が多く生息し、問題視されるようになっている。ここでは、またアメリカザリガニを例として考えてみよう。アメリカザリガニは、雑食性であるため、動物や植物を食べて生きている。つまり、もともと日本にいる動植物が食べられてしまっているのだ。これは、日本の貴重な動植物が減ってしまい、いつの間にか姿を消してしまうことも考えられる。また、人間にとっても不利益なことがある。アメリカザリガニは、田んぼで見かけることも多い。田んぼの畔に穴を開け、壊してしまうことがある。農業をされている方にとってはいい迷惑だ。

 今回、取り上げた例はごく一部のものだ。外来種による生態系への悪影響・農業漁業被害・ケガや病気の懸念など、私たちが考えなくてはならない問題は多い。

 今後も、何回かにわたって、外来種の話題を取り上げたいと思う。



日本蛇族学術研究所研究員 山崎陽平 みどり市笠懸町鹿

 【略歴】高知県出身。帝京科学大生命環境学部アニマルサイエンス学科卒。同大大学院博士課程単位取得退学。専門はヘビなどの生態学。2015年7月から現職。

2017/03/17掲載