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視点オピニオン21

障害者差別解消法 無理なくできる配慮を

ふくしラボ代表 高橋宜隆
 
 昨年4月、障害者において基本的人権の尊重を得たともいえる「障害者差別解消法」が施行されたことを、どれほどの人がご存じでしょうか。

 柱の一つは「不当な差別的取り扱いの禁止」。障害を理由に差別しないということですが、説明も要らないほど当たり前のことだと思います。

 もう一つは「合理的配慮の提供」。障害のある人が何か助けを必要としていたら、無理のない範囲で対応してくださいということです。

 合理的配慮を言い換えると、「気づかい」や「思いやり」ということでしょうか。車いすに乗った人が入り口に段差のあるお店に入るとき、だれかにサポートしてもらうと入店することができます。スロープなどが設置してあれば他人に頼まなくても好きな時に入店することができます。

 先日、私の講演でこの話を聞いたラーメン店の経営者は、早速スロープを常設してくれました。スロープの端には目の不自由な方にもわかりやすいように、黄色のラインで明示するという配慮までされていました。指が動かない私はフォークを使ってラーメンを食べますが、お店には子供用のフォークしかありませんでした。しかし、ラーメンと出てきたのは大人用のフォークでした。店員が買ってきてくれたそうです。きっかけは私の話だったかもしれませんが、この店では車いすユーザーだけでなく、視覚障害者、手の不自由な人に対して自ら合理的配慮をしてくれました。

 合理的配慮とは、無理のない範囲で、できる配慮をすることです。人それぞれサポートの形や方法は違って当然で、決まりはありません。耳の不自由な人に対し、手話ができなくても筆談で対応する。言葉での理解が難しい人に絵で説明したり、実際やってみせるなど、合理的配慮は意外と身の回りですでに行われています。

 「障害者に対してどのように手を貸したらいいか分からない。障害の種別もたくさんあるし」と、よく耳にします。難しく考えず、相手の立場になってみることで大体想像することができ、実際に聞けば間違いありません。

 それは、対障害者のみならず、高齢者、子供連れの親などをはじめ、あらゆる人に当てはまることであり、サービス業の原点でもあると言えます。

 行政機関等は法的義務、事業者は努力義務となっている合理的配慮ですが、義務だとか罰則だとかにとらわれず、これを実行することは企業の利益につながるのではないでしょうか。

 東京五輪・パラリンピックを3年後に控えた日本において、この合理的配慮が広まることは、インバウンドに対する「おもてなし」の精神にもつながるとともに、次世代の高い意識を持った社会の形成につながることでしょう。



ふくしラボ代表 高橋宜隆 伊勢崎市大手町

 【略歴】第一工業大卒。建設業勤務を経て2004年に「不動建設」を起業。10年、仕事中の事故で頸髄(けいずい)を損傷したが、リハビリ後の14年に「ふくしラボ」を起業した。

2017/03/08掲載
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