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視点オピニオン21

「敏感」な娘と私 信頼し自立した親子に

NPO法人ぐんまHHC事務局長 三田章子
 
 「娘と私のこと」についてお話しさせていただきます。

 私たちはとても敏感な親子です。私と娘の関係は、周りからみるととても特殊なようです。現在娘は小6ですが、とても大人びています。多動で落ち着きのない私とは正反対で、「まるで娘さんの方が母親のようだね!」と言われることも多々あります。

 娘と行動を共にすることが多かった夏休み中のエピソードをご紹介します。

 市主催の親子ITプログラミング教室に参加した時のこと。親子別々にスクラッチというソフトを使い、ゲーム作りを体験したのですが、私は誰よりもワクワクし、娘より先走って作品を仕上げてしまったのです。娘も娘でマイペースに作業していたので、私たちの間では特別なことではなかった(と思っている)のですが、周りの親子の様子はちょっと違うようでした。

 ほとんどの親御さんがお子さんを指導し、やる気を促したり、作業を手伝ってあげていました。世間ではこれが一般的なのでしょう。今はあまり気にしませんが、以前だったらきっと、親としての劣等感や罪悪感を感じていたと思います。

 別の日には娘の付き添いで都内へライブに行きました。娘は私の過敏さをよく理解してくれているので「ママ耳栓した?」「お財布はちゃんとしまった?」「チケットは私が持ってるよ」など、その都度適切な言葉がけをしてくれました。私にはこういった気遣いがとても助かります。

 日常的にも私が忘れっぽいこと(注意力散漫)を考慮し、学校の行事や提出物など早めに確認をしてくれます。全く自慢になりませんが、私は娘の時間割や宿題のチェックをしたことがありません。私自身自分のことで精いっぱいなので、幼い頃から「最高のお手伝いは、自分でできることは自分ですること」と話しています。きっと私は世間的に母親としては大失格なのでしょうが、私は娘を一人の人間としてとても信頼しています。

 逆に娘も敏感なところがあり、極度な人見知り、環境、音、におい過敏などがあり、そこは私がフォローするようにしています。このように私たち親子は、極めて相互支援に近い関係にあります。

 最近、「虐待が原因で親子無理心中」という新聞記事を読みました。こういった事件の背景には、親御さんも深い敏感さを持っていることがあるように思います。親子は共に人生を歩んでいくパートナーです。敏感な親子だからこそ、お互いの傾向についてよく理解しあうことが大切です。親がかたくなに頑張ることは、かえって関係を複雑にすると思います。今の子どもたちは大人よりも、ずっと俯瞰(ふかん)的で柔軟です。大人が子どもを心配するより信頼をすることで、より自立した親子関係が築けるのでは思っています。



NPO法人ぐんまHHC事務局長 三田章子 太田市東本町

 【略歴】太田東高、相模女子大卒。労働組合勤務などを経て、心の病に関わるぐんまHHCの立ち上げに参画。自身もパニック障害に苦しんだ経験を持つ。

2017/09/04掲載