文字サイズを変更する
小
中
大
 

三山春秋

2017/09/02【三山春秋】 上野動物園(東京都)を取材し、ユーラシアカワウソがアクリル水槽の中を自由に泳ぎ回る…

 
 ▼上野動物園(東京都)を取材し、ユーラシアカワウソがアクリル水槽の中を自由に泳ぎ回る姿を間近に見たことがある。かわいらしいこのアイドルに向けた来園者の歓声を今も覚えている

 ▼長崎県対馬市で、国内では38年ぶりに野生のカワウソが確認された。環境省は本格的な現地調査をしており、ふんなどが見つかればDNA解析する方針。ニホンカワウソと分かれば世紀の大発見だ

 ▼ニホンカワウソは明治時代ごろまで全国に分布した。だが毛皮目的の狩猟や生息する河川の環境悪化で減少し、2012年に「絶滅」と判断された

 ▼栃木県立博物館(宇都宮市)には、1884(明治17)年に現在の群馬県庁近くの淵で採集された胎児2匹の標本が収蔵されている。2匹は産まれる直前とみられる体長約20センチの雄と雌。ガラス瓶の中でエタノールに漬けられ、保存状態は良い

 ▼瓶を長年収めてきたきり箱に、ウナギを食べられて困った業者が雌の成獣を捕獲、体内に胎児がいた経緯が詳しく記されている。明治前半の頃、一般人が標本保存するという文化水準の高さにも驚かされる

 ▼この後、少なくとも1925(大正14)年には捕獲記録がある本県。県立自然史博物館(富岡市)は昭和の戦中戦後も生息した可能性があるとみて、目撃情報や撮影写真を募っている。群馬県での“新発見”を期待したい。