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三山春秋

2017/03/09【三山春秋】 映画監督の西尾孔志さんが桐生市に住んだのは昨年春から秋まで。わずか半年だが、…

 
 ▼映画監督の西尾孔志ひろしさんが桐生市に住んだのは昨年春から秋まで。わずか半年だが、桐生の街にほれ込んでいた。昭和建築のビルや商店が並ぶ本町5、6丁目を眺め「くせが強い。機能性を追い求めない美しさがある。それが面白い」と笑った

 ▼言われて街を見直してみた。あるビルは丸い窓が壁から飛び出している。別のビルは七つの窓が不規則に並ぶ。洋館風の洋服店もある。個性がぶつかり合っている

 ▼桐生市中心部は本町通りが真っすぐに延びる。北東側の本町1、2丁目は江戸、明治期の古民家が残り、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された。観光客に紹介する桐生の“顔”だ

 ▼一方、南西側の3~6丁目は道路の拡幅に伴って建て替えが進み、明治以前の建物は極端に減る。文化、歴史的な価値を認定された建物は少ない。ところが西尾さんは「1丁目から6丁目に向かって歩けば、江戸から昭和までの時代の変化を味わえる」と捉える

 ▼建物の文化財はかつて、江戸時代以前の寺社や古民家が中心だった。1990、91年度の県近代化遺産総合調査を機に、明治以降の工場跡は「産業遺産」となり、富岡製糸場など「世界遺産」まで誕生した

 ▼時代が進めば昭和建築も希少になる。今は文化財の肩書がなくても、大切にすべき建物はないか。見落とせば取り返しがつかない。

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