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三山春秋

2017/06/24【三山春秋】 色とりどりのアジサイが、富岡市の大塩湖を彩っている。小鳥がさえずる緑豊かな1周約3キロ…

 
 ▼色とりどりのアジサイが、富岡市の大塩湖を彩っている。小鳥がさえずる緑豊かな1周約3キロの湖畔に花を咲かせ、散歩する市民や釣り人を楽しませている

 ▼湖南側の「いしぶみの丘」に、市ゆかりの文化人を顕彰する19基の石碑が立つ。その一つに高崎出身で小学生時代を富岡製糸場近くで暮らした歌人、吉野秀雄(1902~67年)の歌碑がある

 ▼「製糸場の枳殻垣からたちがきに添ふ道の小春日にして繭のにほひす」。現在の製糸場は周囲をブロック塀で囲まれるが、65年前後までは吉野が詠んだカラタチの垣根や水路があり、煮た繭のにおいが漂っていた

 ▼製糸場解説員で富岡まちなかガイドの黒沢壮子さん(73)も垣根を知る一人。カラタチに裾を引っかけたりして通学した思い出があり、製糸場に愛着を持つ。製糸場周辺を巡る低速電動バスで、その思いを吉野の歌とともに観光客に伝えた

 ▼「富岡製糸場と絹産業遺産群」の世界遺産登録運動に最初から関わった清水慶一さん(故人)は10年前、産業遺産はわれわれの生活実感になじむ文化財で、活用してこそ意義があると記した

 ▼25日で世界遺産登録から3年を迎える。日本の近代化や養蚕、製糸の技術革新、世界との交流―。世界の宝となった絹遺産の価値を知り、黒沢さんのように私たちの遺産として活用し、地域の魅力を着実に高めていきたい。