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視点オピニオン21

BMIから考える 不健康な「憧れの体形」

産婦人科クリニックさくら院長 桜井明弘
 
 現代の女性が憧れる体形を考えると、女性の皆さんは「これ以上太りたくない」「体重を増やしたくない」とほとんどの方が思っていらっしゃると思います。

 BMIをご存じでしょうか。身長を元に、平均体重、やせ、肥満と診断する方法で、最近は広く知られるようになりました。BMIを計算するには、体重(キログラム)を身長(メートル)で2回割ります。例えば、身長155センチ、体重55キログラムだと、55÷1・55÷1・55=22・89と計算できます。

 さて、病気をしない確率、長生きをする確率から、このBMIは22が最も健康的、とされています。右に挙げた例の方は、ほぼ22に近いのですが、この体重、特に女性の皆さん、どう思われますか?

 それより体重が軽い方は「太っている」と感じるのではないでしょうか。実際に少しぽっちゃりに見えるかもしれません。そこがわれわれが「美しい」と思わされている体形と「健康的」である体形のギャップなのです。

 当院で体外受精など高度生殖医療を行っている患者さんの出産率を見ると、BMIが22~24の方が最も高く、他のBMIの2倍くらいとなっています。ちなみにBMI17以下と30以上では出産された方がいません。2002年に米・ハーバード大から発表された国際的に広く引用されている論文でも、BMI21.5くらいが最も排卵障害が少ないとされ、BMI22というのは妊娠、出産にも理にかなった数値なのです。

 理想と考えているやせ体形ですが、BMIが低いと、無月経や無排卵から、不妊の原因となります。またこういった方たちに排卵誘発剤を投与して排卵できるようになっても、卵子の質が悪く、妊娠しにくいです。中には妊娠がうまくいく場合もありますが、やせが原因でひどいつわりに悩まされる例があります。もっと問題となるのが胎児の発育障害です。生まれてくる赤ちゃんの体重は1975年の平均3200グラムをピークに、わずか35年後の2010年には、1割近く減り、3000グラムを下回りました。原因として妊婦さんの体重が減っていることが挙げられています。

 お母さんのおなかから生まれてくるまでの間、人生のスタートで低栄養のため、赤ちゃんが小さく生まれると考えられています。こういった赤ちゃんは、成人してからも生活習慣病を起こしやすく、精神疾患や発がんの確率も高くなっています。

 若年女性がやせている原因として脂肪の少なさだけでなく、高齢者にみられるような筋肉量の低下も懸念されています。

 今や小学生ですらダイエットをする時代。誤った認識や生活習慣が現代の日本の若年者のみならず、将来の赤ちゃん、日本を担う次世代の健康まで発展する問題なのです。



産婦人科クリニックさくら院長 桜井明弘 東京都世田谷区

 【略歴】高崎市出身。高崎高、順天堂大医学部卒。2007年、横浜市に「産婦人科クリニックさくら」を開業。一般社団法人・美人化計画代表理事。

2017/09/01掲載