文字サイズを変更する
小
中
大
 

三山春秋

2017/05/09【三山春秋】 大型のゴールデンウイークも、終わって1日過ぎれば遠い昔だ…

 
 ▼大型のゴールデンウイークも、終わって1日過ぎれば遠い昔だ。連休明けの昨日の朝こそ日本全国、憂鬱(ゆううつ)な気分に覆われていたのに、職場で一声あいさつすると、いつもの習性で背筋が伸び、仕事に向き合っている

 ▼そんな具合に自分と折り合いをつけて生きる毎日なのだが、つらい悩みに苦しむ時、最悪の場合は死を考える。連休前の4月28日付本紙で報じた自殺の意識調査結果が、ずっと気になって仕方ない

 ▼自殺を考えたことのある本県20代の割合が全国ワーストの46.6%という。死を意識したおよそ半数の若者の延長線上に、県内で年間400人程度、世界で100万人に上る自殺がある

 ▼19世紀末のデュルケームの労作『自殺論』を読み返した。社会の規範が崩れていき、孤立した心の中で〈自殺を規制してくれる歯止めが失われている〉状況をアノミーという言葉で捉えた分析は今も色あせない

 ▼自殺の予防を研究する精神科医の高橋祥友筑波大教授は〈自殺のキーワードは孤立である〉と書いていた。県の防止対策も〈一人で悩まず相談しましょう〉の呼びかけで始まる

 ▼孤独の淵で、もがき苦しむ若者たち。本県の全国ワーストは何を意味するのだろう。なぜ悩んでいるのだろう。どうしたら寄り添えるのだろう。疑問は晴れない。仕事で走り出しても心に留めておく必要がある。