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視点オピニオン21

認知症と向き合う 地域から「安心」創る

県介護福祉士会会長 小池昭雅
 
 認知症は高齢になればなるほど、発症する危険は高まります。2025年には、65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症になるという推計の発表が出ています。

 厚生労働省の15年1月の発表によると、日本の認知症の方の数は12年時点で約462万人、65歳以上の高齢者の約7人に1人と推計されています。

 ちなみに、中学生は346万人、高校生は330万人です。車を運転していれば、または地域を歩いていれば、中学生、高校生を見かけます。しかし、その数より多い認知症だと思われる人を、中学生や高校生以上に、いや同じような頻度で見かけることはあるでしょうか。もちろん、見た目では分からないこともあります。ほとんどの人は家に居たくても居られず、介護サービスを使っているか、家から出て失敗することが怖くて引きこもってしまっています。

 驚くことに、認知症の前段階の軽度認知障害(MCI)と推計される人が約400万人います。合わせると862万人に達し、現在でも、高齢者の約4人に1人が認知症あるいはその予備群ということになります。

 医療機関を受診して認知症と診断された人だけでもこの数字です。症状はすでに出ているのになんらかの理由でまだ受診していない人も含めると、認知症の人はもっと多いということも考えられます。認知症は特別な人に起こる特別な出来事ではなく、誰にでも起こりうる、身近なことと考えられます。

 この話から、予防することを考える方もいらっしゃると思います。もちろん、そのことも必要なことだと思いますが、その視点だけではなく、今でも、863万人の方と、その家族が困っているのかもしれないという視点も大切です。

 認知症の中には、もの忘れや、今いるところがわからなくなってしまうという「困りごと」を抱えている人、そして、その家族もたくさんいます。そんな時に、初めて会った専門家が関わることよりも、身近にいる顔なじみの人に声を掛けてもらえることの方が安心につながるのではないでしょうか。そして、家族はそんな地域であれば、大切な家族と住み慣れた地域で一緒に過ごしていけるのではと、安心できるのではないでしょうか。

 「優」という字は「憂」(自分の思うようにならないで、つらい、苦しい)という字に、「人」がそばに付き成り立ちます。あなたの「優しさ」がその「困りごと」の解決になり、認知症になっても住み慣れた地域で過ごし続ける自分の地域を創っていく「優しさ」になるのではないでしょうか。



県介護福祉士会会長 小池昭雅 高崎市下豊岡町

 【略歴】前橋医療福祉専門学校、放送大卒。介護事業を行う「アイ・ウィッシュ」を2012年に設立。太田市内の専門学校の福祉分野で、外部講師を務める。

2017/03/06掲載
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