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視点オピニオン21

特許分類の活用 競合企業の今を知る

イノベーションリサーチ副社長 武藤謙次郎
 
 今回は、特許情報を使った分析のうち、特許分類を活用した技術内容分析を紹介する。

 企業活動をする上で、自社が関わる業界や競合企業の動向は常に気になるものである。特許情報分析という角度から切り込む場合、特許情報は技術情報の一つであるので、特に技術内容を知るというのが重要な取り組みとなる。

 技術内容把握は、特許一件一件を読み込むことで正確に行える。しかし、膨大な件数の特許情報を分析する場合、それは現実的な方法ではない。まず他の方法で大まかな傾向を把握し、そこから導かれた、詳しく調べるべき部分についてのみ、じっくり読むのが望ましい。

 そこで注目されるのが、特許情報のグラフ化処理である。おおよその動向や注目すべき部分をあぶり出すのである。グラフ化は、知識の共有という意味でも、今や必須の取り組みといえる。

 技術内容をグラフ化する方法として、①特許分類を用いて整理する方法②キーワード分析を用いて整理する方法③全件を読んだ上でタグ付けし、それを基に整理する方法―の3種類が考えられる。

 ③は正確性が期待できるが、そもそも全件読むという前提のため時間がかかるし、その分野について、事前知識がないと技術整理の方針が立たない。そして複数人でタグ付け処理を行うと、振分基準の統一性の問題があるなど、難易度が高い。②は特許公報に書かれた文章や単語を解析し、そこから動向をつかむというもので、話題のビッグデータ解析に一番近いが、そのためのツールや人材を確保する必要があり、これも簡単ではない。

 一方、比較的簡便に行えるのが、①の方法である。特許分類とは、特許庁審査官の審査迅速化のために作られた技術分類である。ほとんど全ての公報には何らかの特許分類が付与されているため、その分類を基にグラフ化し、動向を把握するのである。

 付与された分類の説明は、独立行政法人工業所有権情報・研修館が運営する無料特許情報プラットフォームJ-PlatPat(ジェイ・プラット・パット)で確認できる。

 試みに、注目の人工知能分野について調べてみた。すると、特許分類から見るに、全体の傾向として、スマートフォンやパソコン関連の割合が高く、続いて医療関連、物流関連が多かった。

 企業別に見ると、例えば、東芝では、電力の発電や配電関連の割合が高かった。このことから、同社は、人工知能を活用し、発電や配電の効率化を図っているのではないかと予想される。

 このように、特許分類から業界の大まかな技術動向や他社動向を把握することができるのである。



イノベーションリサーチ副社長 武藤謙次郎 神奈川県川崎市

 【略歴】前橋市出身。中央大卒。特許事務所でマーケティング重視の特許情報分析を手がけ、2014年に会社を設立した。AIPE認定シニア知的財産アナリスト。

2017/04/02掲載
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