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三山春秋

2017/05/07【三山春秋】 見上げると、日差しを遮るサクラの青葉が輝いていた。1カ月前、花見に興じた東京・JR…

 
 ▼見上げると、日差しを遮るサクラの青葉が輝いていた。1カ月前、花見に興じた東京・JR市ケ谷駅沿いの土手だ。わずかの間に趣を変えた景観を眺めつつ囲碁の聖地、日本棋院東京本院に向かった

 ▼文豪、川端康成が揮毫きごうした掛け軸が下がる対局室「幽玄の間」で藤岡市出身の本木克弥八段(21)と待ち合わせた。群馬県出身棋士で初めて七大タイトルの本因坊戦に挑む

 ▼6冠を誇る井山裕太本因坊(27)との公式戦初手合いを目前に「正確な読みが強いけど自分の長所も読み。落ち着いて策を練っている」と穏やかに笑う。挑戦権を得た4月は「戸惑いが大きかった」。サクラが花から新緑へ装いを変える間に、気鋭の棋士は気負いを消していた

 ▼タイトル戦で活躍する伊田篤史八段(23)、一力遼七段(19)、余正麒七段(21)らと並ぶ若手「黄金世代」の一角。目指す棋士像は「囲碁界一の研究家と言われたい」という勤勉家である

 ▼チェスや将棋に続き、囲碁も人工知能(AI)にトップ棋士が敗れている。一方、AIの着手が注目され、定石を見直す研究が進む。AIと棋士との切磋琢磨せっさたくまで囲碁は奥深さを一層増しそうだ

 ▼とはいえファンの胸を高鳴らせるのはAIではあるまい。本木八段の真骨頂は中盤からの激しい戦いだ。大いに暴れてほしい。7番勝負第1局は9日、岐阜市で開幕する。