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三山春秋

2017/07/16【三山春秋】 「ほう ほう ほたるこい あっちの水は苦いぞ こっちの水は甘いぞ」。童謡『ほたるこい』は…

 
 ▼「ほう ほう ほたるこい あっちの水は苦いぞ こっちの水は甘いぞ」。童謡『ほたるこい』は、誰でも一度は歌った記憶がある

 ▼富岡市の妙義山麓を潤す高田川上流域で、先月から今月にかけてゲンジボタルが舞った。例年6月上旬から光り始めるが、今年は少し遅れて大発生したという

 ▼妙義で生まれ育った市職員に教わり、最盛期は過ぎていたものの、ホタルを観賞することができた。橋の上で一緒になった家族連れが童謡を口ずさみ、ホタルが淡い光を放ち高く舞う光景を見て、自然豊かな里山の魅力を感じた

 ▼40年前、市職員が小学生だった頃の風景には、妙義一帯の水田や小川の周りでホタルが舞い、稲わらで作ったほうきでそっと捕まえた思い出があるという。その後、環境変化でホタルは減少している

 ▼ぐんま昆虫の森(桐生市)の名誉園長、矢島稔さんは著書『ホタルが教えてくれたこと』で、〈自然は、一部だけを切りとることはできません。(中略)ホタル飼育場は、(多様な生物による)食物連鎖を教えてくれたのです〉と記し、自然と人間の共生を願った

 ▼ホタルの幼虫や餌のカワニナを放流して保護する地域があるが、妙義では生態系のバランスの下で自然発生している。世界文化遺産の富岡製糸場などの歴史遺産とともに、貴重な里山環境を未来に引き継いでいきたい。