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視点オピニオン21

城下町館林 歴史の魅力で活性化を

館林城の再建をめざす会会長 田中茂雄
 
 2015年10月。館林に長沢理玄顕彰碑が建った。実現に奔走した間も並行して館林城の広報活動を続けた。

 城内と城下町がセットになって館林城である。天守や大手門などがめでたく再建されたとしても、城下町が消滅していたら意味がない。

 館林城下町のたたずまいが毎年失われている。例えば、館林駅西口開発で館林西南の城門跡である小泉口がこの2年で消えた。消滅の流れを個人の力で止めるのは不可能だ。市行政が歴史文化遺産の活用に目覚めてほしいと切に願っている。館林の一番の魅力はツツジでもタヌキでもない。偉大な歴史である。そのシンボルとして館林城なのだ。

 城下町のたたずまいを残すために個人でもできることをやろうと決めている。

 館林城下町は榊原康政の計画により造られた。江戸防衛を目的とし、堀と土塁で囲われた堅固な総構えの城である。土塁の角ごとに寺を配置した。戦に利用可能で市内に多くのお寺があるゆえんだ。

 お寺は歴史を今に伝えるランドマーク。江戸時代の絵図に描かれたお寺の多くが現在も残っている(黄檗(おうばく)宗の拠点として将軍綱吉の加護を受け創建された名刹(めいさつ)・広済寺のように廃寺になった例もある)。お寺の歴史情報を発信して館林の魅力を高めることを目的に「お寺プロジェクト」を始めた。

 第1弾は「お墓ガイド」。お墓ガイドが生まれた経緯はこうだ。円教寺で理玄のお墓を探したことがあり、とても難儀した。その時、ガイドがあればとひらめいた。「作ろう!」

 私はデザイナー。サインデザインも得意である。館林の歴史を調べ円教寺に眠る人物の墓(長沢理玄・石川直幹・木呂子退蔵)を紹介。市内の石材業者の協力で15年11月に立派なガイドが完成した。

 お墓ガイドの反響は大きかった。新聞各紙に紹介され、前橋市歴史文化遺産活用室の一行が視察に。その後、前橋市が16年6月、館林城の再建をめざす会の活動を紹介する機会も設けてくれた。

 また、栃木県那須烏山市からも講演依頼があり、16年12月にセミナーを開催した。

 城下町館林の街並みが消え、広い駐車場が目立つコンビニができる。利便性は認めるが、町の景観が、歴史が消えてしまう。私は城下町を形作る個人商店を応援したい。

 城下町には和菓子屋さんのような名店が必要なのだ。

 17年6月、「城下町・館林お散歩マップ」を制作した。城下町を味わうお散歩コースを二つ考案。館林の名店と歴史の魅力を詰めこんだ美しいイラストマップである。館林の名店に配布してあるのでご覧あれ。

 時代は確実に良い方へ向かっていると信じたい。郷土の歴史と景観をまちの活性化に生かす方向だ。



館林城の再建をめざす会会長 田中茂雄 東京都千代田区

 【略歴】館林市生まれ。桑沢デザイン研究所卒。デザイン事務所コンセプト代表。「ぴあ」、新国立劇場バレエなどのアートディレクターを歴任。空手道場「優風館」館長。

2017/07/30掲載