文字サイズを変更する
小
中
大
 

視点オピニオン21

災害とペット 同行避難の備え急いで

公益社団法人日本愛玩動物協会顧問・県支所長 川口和清
 
 九州では、熊本地震に続いて豪雨に見まわれ、多くの方が被災しています。そして大災害時には、数多くのペットも命を失ったり、行方不明になったりします。

 阪神淡路大震災の時、私は大阪で単身赴任中に被災しました。関西人には寝耳に水の大地震で、神戸市民で「大地震が起こる可能性がある」と思っていた人はほとんどいませんでした。

 群馬県は、これまで大きな災害がなかったと思われがちですが、70年ほど前の台風では、600人近くの方が県内で亡くなったそうです。確かに今後の大地震の確率は、他の都県に比べると低いといえますが、決してゼロではありません。飼い主は、まず自分の命を守ると同時に、ペットの命をどうやって守るのかを考えておく必要があります。

 東日本大震災後に、環境省は「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」を作成しました。飼い主用の抜粋もホームページに記載されていますので、ぜひ一度はお読みください。そこには「災害が起こった時に飼い主はペットと同行避難することが基本であるため、平常時からそれに備えるべき対策についての意識をもち、ペットの安全と健康を守るとともに、他の避難者への迷惑にならないように努めなければならない」と書かれています。

 同行避難が基本であると明記されていますが、そう簡単ではありません。なぜなら、まだほとんどの自治体で体制が整っておらず、ペットに関しての具体的対応が決まっていないのが現状であるからです。県内でも「現時点では同行避難を受け入れることはできない」と明言する自治体もあります。いざという時、ペットと避難所に入れるかは全くわからないのです。

 自分の指定避難所に問い合わせ、もし受け入れできないと言われた場合どうするのか考えておくことが必要です。避難所の周辺に、ペットを一時避難させる場所があるかどうかを把握しておかないと、彼らの命を守れない事態となります。そして何よりも、多くの飼い主が災害時のペットへの行政の対応を問い合わせておくことが、自治体への問題喚起となり、対応の早期準備につながるのではないでしょうか。またつなげていかなければならないのです。

 東日本大震災の際に命を失った犬は、確認されただけでも3千頭以上で、猫においては登録制度がないので被災状況がほとんど不明です。鑑札や迷子札、そしてマイクロチップの準備を怠らず、行方不明となることを避けましょう。支援物資も、当然ながら人間用が優先されるので、ペットフードなどは最低でも1週間分の備えが必要です。そして、それができるのは、私たち飼い主だけなのです。



公益社団法人日本愛玩動物協会顧問・県支所長 川口和清 高崎市吉井町

 【略歴】長崎県生まれ。立教大法学部卒。ペットフードメーカー取締役を経て国際ペットワールド専門学校講師。元ペットフード公正取引協議会委員。ペット栄養管理士。

2017/07/29掲載