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視点オピニオン21

こども食堂の輪 町全体を帰りたい場に

新町デイサービスセンター長 丸茂ひろみ
 
 社会活動家で法政大教授の湯浅誠氏を講師、コーディネーターに招いたシンポジウム「広がれ、こども食堂の輪!全国ツアーinぐんま」が9月10日、群馬県社会福祉総合センター(前橋)で開かれます。

 私も関わるシンポジウム実行委員会は、県内でこども食堂に取り組んでいる方に加え、これから始めてみたい方も含めた約15団体で情報交換会を開きました。こども食堂を実施する私たちにとって情報交換の場が欲しいと思ったことがきっかけです。こども食堂実施者への問い合わせも増える中で、群馬県社会福祉協議会と協働しての立ち上げでした。

 2度目の情報交換会にしてネットワーク化の賛同を得ることができました。ネットワークを活用し、「こども食堂」や「学習支援」に関わる団体が情報交換会や研修会、地域への働きかけもできたらいいと考えています。こども食堂と学習支援の二つの活動はリンクしており、両方を自然に行っている方も増えています。

 さて、現在シンポジウムで配布するQ&Aを制作中です。よく受ける質問は「ボランティアの集め方」「財源の確保」「場所の見つけ方」「フードバンクの利用方法」などです。世間の声として「本当に困っている子どもが食べられているのですか?」というものがあります。子どもの貧困対策とこども食堂の誕生が同じ頃に話題になったことも混乱が生じた一因だと言われていますが、こども食堂とは「孤食の解消」という目的から始まった「居場所」なのです。ですから、ひとり暮らしの高齢者や、両親が遅くまで共働きの子どもたちなども一緒に食事ができる安心安全な場所ということになります。

 湯浅氏が示すように「共生食堂」「ケア付き食堂」など運営者によって目指すこども食堂像はさまざまです。これは地域づくりの活動に似ていると思います。つまり、目指す地域像がそれぞれ違う中で、地区のニーズに合った資源を生み出そうとしていくからです。

 時には厳しい意見や批判的な考えを耳にすることもあります。それでも私は小さな種をあちらこちらにまき続け、芽が出て花が咲く日を願い、丁寧に水やりや草むしりをするプロセスが地域活動の楽しさだと思えるのです。

 当たり前に学習ができて食事ができて、当たり前のように自分を気にかけてくれる大人がいるこども食堂がある地域は、社会的養護の必要な子どもにとっても町そのものが帰りたくなる居場所になります。人ごとではなくわが事として感じるには知ることからではないでしょうか? 知ることで支え合いが生まれます。多くのさまざまな立場の方がシンポジウムを聞いていただけたら幸いです。



新町デイサービスセンター長 丸茂ひろみ 高崎市新町

 【略歴】神奈川県生まれ。鎌倉女子大高等部卒。専門学校を経て横浜市の児童養護施設に勤務。2016年4月から地域づくりや子どもの貧困問題にも取り組んでいる。

2017/09/03掲載