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視点オピニオン21

太極拳と健身(2) 効果示す研究次々と

北関東武術連盟理事 堀米昭義
 
 今回は健康な身体をつくる太極拳の「健身作用」の身体への具体的な影響を紹介したい。

 ①『神経系統に対する影響』。大脳の構造と機能は、人間の知恵や思考に重要な影響を与える。脳細胞の数は約140億個あり、一般に再生能力はなく年齢の増加に伴って減少する。太極拳の練習を行うことで脳細胞の減少の状況も改善され、大脳の機能を良好な状態に保つ。

 ②『循環器系統に対する影響』。世界保健機関(WHO)は、太極拳の運動を心肺機能回復のための運動項目に取り入れた。多くの研究の結果から太極拳は中高年の心機能の向上に明らかな作用があることが証明され、1カ月間太極拳を練習した被験者は安静時の心拍数が低下し毎拍の血液排出量と排出率が向上したデータが残っている。また、2年以上太極拳を練習した人の脳内血流を分析した結果、脳内血管の弾力性が良好で血流に明らかな改善があったことも分かっている。このことは太極拳の運動が、脳細胞の発育と老化の緩和に重要な影響があることを証明している。

 ③『呼吸器系等に対する影響』。呼吸系統の機能は人体の健康状態に重要な影響を及ぼす。多くの研究結果により、太極拳の練習を通して肺活量を効果的に増大し、肺の組織を改善することが認められている。太極拳の練習中の様子をエックス線で観察すると、横隔膜の上下の動きが通常の2~3倍になっており、肺の呼吸器機能を向上させていることが分かっている。

 ④『消化系統に対する影響』。現代社会ではいら立ちや不安などの典型的なストレス状態は多くの人が直面している精神的な問題である。長期間にわたる精神の不安定や緊張は多くの心身の疾病の重要な要因になる。リラックスと精神の安静を主体とする太極拳の練習によって多くのマイナスの精神状態や情報を意識の中から取り除くことができる。心因性で精神的な病因を取り除くことで、一部の神経性結腸炎や消化系統の疾病の症状をすばやく緩和できる。また、太極拳の練習によって交感神経と副交感神経のバランスを改善し、呼吸器の収縮力が高まり、胃腸のマッサージ作用が得られる。それにより多くの胃腸慢性疾患の予防や治療に効果がある。

 ⑤『免疫機能に対する影響』。研究によると、数カ月の太極拳の練習によって血清4類の免疫球状蛋白(たんぱく)の含有量が明らかに上昇することが認められている。つまり太極拳は人体防衛機能(免疫機能)の向上に重要な作用があることがわかる。これが太極拳が病気の予防、治療に効果があり、健康と長寿に益する重要な要因といえる。

 太極拳の運動を行うことで健康な身体をつくり、健康寿命を延ばしていく効果的なアプローチであると私は信じている。



北関東武術連盟理事 堀米昭義 高崎市綿貫町

 【略歴】法政大卒、北京体育大民族伝統体育学武術套路修士研究院修了。台湾世界杯など国際武術大会の受賞歴多数。県武術太極拳ジュニア普及・強化委員長。

2017/07/14掲載