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視点オピニオン21

災害図上訓練「DIG」 危険予測し減災意識を

NPO法人わんだふる代表理事 赤羽潤子
 
 3月11日、東日本大震災から6年が過ぎた。私たちは震度5強という大きな揺れを体験した。瓦が落ち、ブロック塀が倒れ、電話は不通、店には物資がなくなり、ガソリンは不足。その後、電力不足による計画停電、他県からの避難者受け入れなど、経験したことを今、何人の方々が語りついでいるのだろうか。このような未曽有の体験をした私たちこそが、大切な人々にこれからも伝承していくことが「自助・共助」につながっていくと思われる。

 6年前の災害以前「防災、減災の話をさせてください」「防災訓練に参加させてください」と町内、自主防災会などに申し入れや、お願いをしても「群馬は安全だから大丈夫」「消防署に頼んで毎年してるよ」と断られていた。しかし、大震災以後は、県内全域から防災講演、講習の依頼が増えて県民の意識が変わりつつあることを感じる。

 初回本稿において行政が配布しているハザードマップを紹介したが、今回は地図を使って減災対策を検討する、住民参加かつ主体の災害図上訓練「DIG」に触れてみたい。DIGはDisaster(災害)、Imagination(想像力)、Game(ゲーム)の英単語の頭文字を採ったものである。4年前より群馬県防災士会が、県の委託を受け全県で実施している防災訓練技法の一つである。

 事前に危険予測できると同時に避難経路、避難場所、即応性ある避難準備の徹底、地域住民や関係機関の連携や対策の検討など参加者の間で、災害に関連する情報を共有することが可能となる。このゲームを経験した各町内、自主防災会では地域防災力の向上および自助、共助の確立に向けた地域防災に取り組む活動が広がりを見せつつある。

 大震災時には「想定外」という言葉が使われたが、行政が想定したハザードマップだけではなく、地域、職場、家庭、個人が災害が起きた時に慌てず、冷静に対処するためにリアルなイメージづくり(想定)をすることもDIGの一つである。

 例えば町内や班、家の間取りなどを図上に示して安全な場所、危険な場所を身近な人と確認する。あるいは日常会話の中でも簡単に、自由な発想やアレンジで起こりうる災害を推測し、地域の防災力を認識する。その上で役割分担や準備しておくことなど種々の対応策を想定し、一人一人が減災に向けたより高い意識を持つことにつながる大切な訓練だと思う。

 ぜひ、この機会にそれぞれの地域、職場、学校、家庭などで決して「群馬は安全」ではない、ということを再認識し、過去の災害を掘り起こし、いろいろな機会を捉えて災害を想定する習慣を身につけていただきたい。大切な人への伝承から始めてみることも一つの減災対策ではないだろうか。



NPO法人わんだふる代表理事 赤羽潤子 高崎市宮元町

 【略歴】高崎市立女子高卒。2006年に高齢者の居場所づくりサロン「わんだふる」を開設、07年6月にNPO法人の認証を受けた。日本防災士会県支部副支部長。

2017/03/12掲載
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