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視点オピニオン21

高校の教育改革 大学で学ぶ能力問う

日本進路指導推進協議会長 山口和士
 
 現在、さまざまな教育改革に向けた取り組みが、急ピッチで進んでいる。2016年3月31日の文部科学省の「高大システム改革会議」の最終報告によれば、教育改革の根本は「学力の3要素」を徹底し、土台として育むことにあると読み取れる。

 発想のおおもとは、従来型の高校や大学の授業形態では、グローバル化、産業構造の転換、生産年齢人口の激減などの厳しい社会変化に対応できない、世界水準の教育に到達できない、という危機感にあることは明白だ。

 だからこそ、これまで高校や大学でうまく指導の上で機能してこなかった①十分な知識・技能②思考力・判断力・表現力③主体的に多様な人々と協働して学ぶ態度―を高等学校で着実に身に付け、新たな大学入試でそれを評価し、進学後の大学教育でもそれを深化させて力を伸ばしていくことを意図したといえる。その検証のためには、確かに高校でその力が付いたのかを測るテストが必要となる。これが「高等学校基礎学力テスト(仮称)」誕生の背景だ。平たく言えば、高校で3要素が身に付いたかどうかを測る試験になる。もはや「学んだつもり」「教えたつもり」は通用しないと考えてよい。高校の教師も高校生も、大きな意識の転換が求められよう。

 高等学校基礎学力テストは、高校内部の生徒の実力評価で、ある意味では到達度評価に近く、あらゆる校種で実施可能だが、センター試験に代わる「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」は①内容に関する十分な知識と本質的な理解を基に問題を主体的に発見・定義し②さまざまな情報を統合し構造化しながら問題解決に向けて主体的に思考・判断し③そのプロセスや結果について主体的に表現したり実行したりする―ために必要な能力を適切に評価することを目的としていることから、より成績上位層に偏った試験になるのではないかと懸念される。真の平等性は担保されるのかどうか、今回の改革の泣き所の一つでもある。

 目的の解説からして難しい表現に思えるだろうが、これまでの「教科・科目の知識をいかに効果的に評価するか」という視点でなく、平たく言えば「大学教育を受けるために必要な能力があるかどうかを測る試験」になろう。

 20年度からの移行にあたって、まだ不明瞭なことが山積している。現在の中学2年生から、正式実施の24年度からの小学4年生までの子どもの保護者は不安でいっぱいだろうが、私は群馬の教師を深く信頼している。

 既に各大学や高校で、あらゆる模索が始まっている。私も各県の関係者と連絡を取りながら、全国の高校の教師たちと図り、未来型の問題を作問しては文部科学省に持参し、子どもたちの不利にならぬ教育改革であるよう、今後も訴えていくつもりである。



日本進路指導推進協議会長 山口和士 藤岡市上大塚

 【略歴】山形県出身。法政大文学部卒。37年間、県内の公立高校に勤務。高崎東高校長時代の2014年度から「進路多様躍進校会議」を主催。16年4月から現職。

2017/03/07掲載