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三山春秋

2017/08/26【三山春秋】 鍵盤の上を舞う手指は、2羽のハチドリが戯れているかのよう―。23日の本社ホールでの…

 
 ▼鍵盤の上を舞う手指は、2羽のハチドリが戯れているかのよう―。23日の本社ホールでのコンサート。ピアニスト、金子三勇士みゆじさんの「ラ・カンパネラ」を間近で視聴し、臨場してこそ味わえる感動があることをあらためて実感した

 ▼重ねて本社事業の話になるが、高崎シティギャラリーで開催中の「漢字三千年」(本社など主催)は、中国の17もの博物・研究機関が所蔵する110点の文物を一度に見ることができる

 ▼ひときわ目を引くのが秦の始皇帝陵から出土した兵馬俑へいばよう。胸に刻まれた「不」の文字が、よろいをまとった武人の威容とどこかそぐわない不思議な空気を醸し出している

 ▼兵馬俑は推定8000体に及ぶが、文字が刻まれているのはごく一部。胸にあるのはこの一体だけという。文字は「不」のほかに「越」「得」など80種ほどあり、俑の製作者の名前であることが分かっている

 ▼製作には瓦や陶器の職人のほか、政治犯を中心とする多くの罪人が駆り出されたという。「不」に込めたのは職人の矜持きょうじか、為政者への抗議か。その場にいるだけで作者の尋常ならざる思いが伝わってくる

 ▼「インターネットの時代。いろんな形で音楽を聴けるようになったけど、どんな演奏会でもいい、生を見に行くということを大事に」。漢字展を見終え、演奏会の終わりの金子さんのこの言葉を再びかみしめた。