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視点オピニオン21

赤城山の観光振興 新シンボルでPRを

国立赤城青少年交流の家職員 丸山峰樹
 
 これまで赤城山のシンボルの一つと言えば「赤城の山も今宵(こよい)限り」の名文句で知られる国定忠治であった。忠治は江戸後期に実在した人物であり侠客(きょうかく)、後に博徒の親分として関東一円にその名をはせた。数々の罪状でお上のお尋ね者となった半面、私財を投じて窮民を救うなど民衆の味方でもあったことが後に芝居や映画となり、庶民のヒーローとして全国的に有名になったそうである。

 かつては赤城山頂のおみやげ店でも忠治のこけしやキーホルダーなどが並べられ、「忠治のわっぱめし」や「忠治おっ切り込みうどん」など食の名物も生まれてきた。その後、時を経て忠治を語るメディアも少なくなり、その名を知らないという若者も今や珍しくはない。それゆえ赤城山のシンボルとしては、いささか時代遅れという感も否めないのである。

 一方、車好きの若年層を中心に連載終了後も人気の高い漫画「頭文字(イニシャル)D」はアニメや映画にもなり、国内だけでなく香港や台湾など広くアジア圏にまでそのファンが広がっているという。この人気にあやかり、一部の市町村では劇中に登場する車を模したパッケージ商品をつくったり、内容をモチーフにしたカフェやラーメン店などを経営するところもある。

 物語の舞台として赤城県道も登場し、沿線の店舗の姿や看板がそのまま描かれているシーンも多く、これをいっそ観光振興に生かしてみてはとの声もある。しかし峠道で車のレースをするという内容でもあることから、「改造車で公道を走る行為を容認することになるのでは」「一晩中近隣の駐車場でグルグル回られるのは迷惑である」などの地元住民の声も無視することはできない。

 ゆるキャラグランプリで1位となった県のマスコットキャラクター「ぐんまちゃん」はここ数年知名度も上がっており、昨年度関連商品も含めて数百億円ほどの経済効果を生み出しているという。赤城山頂の商店でも数多くのぐんまちゃんグッズが取りそろえられており、今や主力商品といってもいいだろう。

 とはいえ、ぐんまちゃんはあくまで県全体のイメージキャラクターであり、赤城山独自のものではない。

 問題なのは、国定忠治以降、赤城山のシンボルが見いだせないということにある。これからの赤城山のイメージにふさわしいのは何か、それらをどうやってつくり上げて広めていくのか、現在赤城山の観光振興と合わせて関係官庁や団体がそれぞれ懸命に模索しているところである。

 ちなみに赤城山の「あか」とは閼伽(あか)を指し、仏前などに供養される水のこと、「ぎ」とは水を蓄える器を意味するそうである。そんな水の宝庫の山であったため、「あかぎやま」という名前がついたとも言われている。



国立赤城青少年交流の家職員 丸山峰樹 前橋市富士見町赤城山

 【略歴】前橋市生まれ。市立工業短大、放送大卒。専門学校や日本水泳振興会などを経て、2016年4月から現職。赤城山エコツーリズム推進協議会事務局長。

2017/03/04掲載