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三山春秋

2017/05/02【三山春秋】 富岡製糸場の一角、社宅群南側に小さな桑畑がある。富岡市が養蚕農家の協力で…

 
 ▼富岡製糸場の一角、社宅群南側に小さな桑畑がある。富岡市が養蚕農家の協力で1年前に植えた桑苗200本が成長し、若葉を広げている

 ▼製糸場とともに世界遺産に登録された養蚕関連の田島弥平旧宅(伊勢崎市)、高山社跡(藤岡市)の周辺にも見本桑園が整備されている

 ▼改良鼠返(ねずみがえし)、多胡早生(たごわせ)、はやてさかり、一ノ瀬―。いずれも桑の品種名だ。蚕は桑しか食べず、生糸の原料となるいい繭を生産するため、桑を品種改良した

 ▼桑畑はかつて全国各地にあり、国土地理院の地図記号にもなった。桑の木を横から見た形を表し、製糸場にある桑の姿とそっくりだ。だが、同院が4年前から順次発行する多色刷りの2万5000分の1地形図(4419図面で国土網羅)では、激減した桑畑の表記をやめ、畑に統合した

 ▼書店で買った2月発行の富岡の図面では、欄外表記に茶畑や果樹園はあるが、桑畑はない。一方、7年前の発行から未更新の前橋の3色刷り図面では、県蚕糸技術センター周辺に桑畑が広がる

 ▼富岡市周辺では今月20日から春蚕の飼育が始まり、農家が2週間ほど桑畑で桑を切り、蚕を育てる。地図では確認できなくても、養蚕が続く限り桑畑も残る。今年は企業が養蚕に新規参入する動きがある。多様な形で、群馬の原風景が少しずつ復活していくことに期待したい。