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三山春秋

2017/09/10【三山春秋】 8月最後の日曜日、わが家の畑に足を踏み入れようとして、目を疑った。…

 
 ▼8月最後の日曜日、わが家の畑に足を踏み入れようとして、目を疑った。一面雑草に覆われ、地面が見えなくなっていた

 ▼「暑い」「雨が降っている」「休日出勤だ」などと理由を付け、放っておいたのが原因。雑草を刈り取り、片付けるのに半日近くかかった

 ▼この畑で野菜を育てていた父や叔父は、雑草だらけにすることなどなかったが、無精な筆者にはまねできそうもない。せめて畑を維持しようと思っているものの、現実は厳しい。祖先から受け継いだ農地を放棄せざるを得ない人の気持ちが、少しだけ分かった

 ▼高齢化などを背景に耕作放棄地は増えており、県内に約1万4千ヘクタールあるという。荒れた田畑は雑草の種子や害虫、有害鳥獣の温床となったり、不法投棄や犯罪の危険性が増す。日本らしい景観を作る農地が失われれば、観光への打撃も大きい

 ▼さまざまな対策が講じられている。荒れた農地を耕作できる状態に戻す取り組みを補助したり、耕作放棄地の予防になる農地集積を促す事業もある。しかし、農家や行政の努力だけでは放棄地はなくならないだろう

 ▼農地を地域の資産ととらえ、地域全体で守る意識を共有することが必要ではないか。耕作できなくなったとしても、安心して他の人に託すことができる。そんな地域は、誰もが穏やかに暮らせる場所でもあるに違いない。