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三山春秋

2017/03/17【三山春秋】 今年の日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞は記録的なヒット作「君の名は。」を…

 
 ▼今年の日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞は記録的なヒット作「君の名は。」を抑えて「この世界の片隅に」が受賞した。高崎映画祭の上映作品にも選ばれている

 ▼広島県呉市を舞台に、戦時下の庶民の生活を丹念に描いた心に染み入る作品だ。特に食事の場面が印象的。食卓に工夫を加えながら食糧難の時代を懸命に生き抜く主人公たちの姿は「生きることは食べること」、「支え合うことの大切さ」を改めて教えてくれる

 ▼映画を思い返すたびに、現代がどれほど恵まれているかを痛感する。農水省によると、本来食べられるのに廃棄されている日本の「食品ロス」は年間632万トン(2013年度)にも及ぶ

 ▼その一方で「フードバンク」という取り組みも全国で広がる。賞味期限前で未開封の食品を企業や個人に提供してもらい、生活貧困者らを支援する試みだ。群馬県自治体では太田市が初めて実施した

 ▼今月で開設1年を迎え、2月末時点で延べ1021人が利用した。職員は食料品を渡すだけでなく、家族の様子や次の就職先などを尋ねながら、親身に対応。現場は「支え合う社会」の縮図にも見える

 ▼市は新年度、さらに事業拡大を図る方針。困窮者へ手を差し伸べ「食品ロス」削減へ波及効果も期待されるこの制度。世界の片隅を照らす一手として定着を願わずにはいられない。