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三山春秋

2017/03/21【三山春秋】 雅楽は、宮中や神社の音楽というイメージが強いが、明治時代に神仏分離が進められる…

 
 ▼雅楽は、宮中や神社の音楽というイメージが強いが、明治時代に神仏分離が進められる前は、寺院の仏教行事で奏でられることも多かった。この伝統を復活しようと、群馬県など関東一円の天台宗僧侶の有志が「天台雅楽会」を結成して練習に励んでいる

 ▼東日本大震災の傷痕も生々しかった2011年11月。県内の同会若手メンバー十数人が、生活物資の支援などで交流があった、宮城県東松島市の仮設住宅を訪れ演奏会を開いた

 ▼ところが演奏を始めると高齢者の多くが、こくりこくりと居眠りを始めた。「素人が演奏する雅楽はたいくつだったのか」。篳篥ひちりきを吹いていた渋川市の浜田孝暁さん(43)は申し訳ないような気持ちを抱いて帰路についた。翌日、現地の寺の住職が意外なことを電話で伝えてきた

 ▼仮設住宅の高齢者たちは、目を閉じると脳裏に浮かぶ津波の光景や、子や孫が亡くなって自分が生きながらえた苦しさから、震災の後、半年以上も熟睡できないでいた

 ▼だが雅楽が流れ出すと「不思議と心地よい眠りに入れた。感謝したい」と言っているというのだ。同会メンバーは現地から求められ、雅楽のCD100枚余りを仮設住宅に送り届けた

 ▼人気雅楽師、東儀秀樹さんらの活躍で雅楽を耳にする機会も増えてきた。いつかコンサートに出かけて、心を癒やす雅楽の力を確かめたい。