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三山春秋

2017/06/25【三山春秋】 渡良瀬川の高津戸峡を望む高台にある「ながめ余興場」(みどり市)…

 
 ▼渡良瀬川の高津戸峡を望む高台にある「ながめ余興場」(みどり市)。1937年に建設された芝居小屋で、芝居や浪曲、映画、歌謡ショーなどが連日のように開かれた

 ▼時代の移り変わりとともに客足が遠のき、87年に閉館した。その後、解体が検討されたが、旧大間々町が取得。改修して97年秋に復活させた。改修20周年となる今年も多彩な公演や住民の発表の場として活用されている

 ▼危機を救ったのは、余興場を誇りに思う住民だった。保存活用を提案した有志数人は支援組織も必要と考え、舞台に欠かせない黒子にちなみ「ながめ黒子の会」を発足させた

 ▼93年2月に会を立ち上げると、梅沢富美男さんや柳沢慎一さん、萩本欽一さん、永六輔さんらを招き、芝居やトークショーなどを企画。手弁当で運営に協力した

 ▼「何とかしたいという思いで動いていた。来てくれた人たちがテレビやラジオなどで余興場の良さをアピールしてくれ、それが町民の気持ちを動かすことになった」。初代代表の椎名祐司さんは振り返る

 ▼今、地域の歴史を刻んだ建物が相次いで姿を消している。建物に愛着を持っていても高額な改修費などを背景に、解体せざるを得ない所有者は少なくない。しかし「残したい」という気持ちと仲間、アイデアがあれば何とかなる。黒子の会の歩みを見て、そんな思いを強くした。