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視点オピニオン21

発達障がいと依存 「健康」は自ら求めて

ぐんまHHC事務局長 三田章子
 
 ぐんまHHCが提唱する「自立した健康づくり」について話させていただきます。

 今、世の中は「便利」であふれています。携帯に話しかけるだけで、知らない単語を教えてくれ、行きたい場所に案内もしてくれます。テレビをつければ、洗濯物の乾きやすさ(洗濯指数)までも教えてくれます。こうした「与えられる」仕組みが自動的に確立されています。よくも悪くも「考えなくてもよい」社会にどんどん進化しています。

 これを教育や医療、福祉の現場に落とし込んでみるとどうでしょう。「(先生が)教えてくれて当たり前」「(お医者さん)が治してくれて当たり前」という意識が、便利な時代と共に自然と刷り込まれているように思えてならないのです。これが「依存」につながっていき、私たちはこのループを重大な病理(病気の原因)であると考えています。皆が「与えてもらえない」ことに不安になったり不満を感じたりすることが、「心の病」の第一歩です。「依存」は「自立」の反対であり、現代社会において「自立すること」はとてもハードルが高い状況になりつつあります。

 グレーゾーン(診断は受けていないが、症状を自覚する層の人たち)の当事者や保護者から「診断を受けたほうがいいのかどうか悩んでいます」という相談を受けることがあります。私自身、診断は受けていませんし、診断を受けること自体あまり重要でないと思っています。

 中には診断を受けたことで、「(自分が何者か分かり)すっきりした」という人もいるので、判断基準はそれぞれですが、大切なのは当人が診断をきっかけに「楽」になれるかどうかに尽きると思います。診断がいわゆる「免罪符」になってしまうことは非常に残念です。診断を受け、薬を飲んだからと言って「障がい」は治らないからです。診断は、あくまで傾向や特徴を知り対処方法や生活習慣を見直す一つの目安になるとよいと思っています。個々の「どうしたいか?」が明確になることで自分の感情整理も出来るようになり、周囲のサポートも得やすくなります。

 これまでにお伝えてしてきた通り「発達障がい」をとりまく問題は、教育、福祉、医療分野にと多岐にわたります。社会全体で考えると同時に、こうした一人一人の意識変化が最重要だと思います。誰かに「してもらって当たり前」の「依存」の時代はもう終わりです。

 真の「健康」とは人との比較でなく、自身の心の中にあります。私たちが発達障がいを「傾向」であるとする理由はここにあり、障がいであってもなくても、皆平等に「健康」になる権利を与えられていることにフォーカスすべきです。今後もおのおのが「自立した健康」を意識できるような社会を目指し、活動を続けていきたいです。



ぐんまHHC事務局長 三田章子 太田市東本町

 【略歴】太田東高―相模女子大卒。労働組合勤務などを経て、心の病に関わるぐんまHHCの立ち上げに参画。自身もパニック障害に苦しんだ経験を持つ。

2017/07/02掲載
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