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視点オピニオン21

ブランドとは 個性磨いて発信を

プロダクトデザイナー、テシマデザインスタジオ代表 手島彰
 
 前回はデザインとアートの違いを比較しながら、あらためて「デザイン」という言葉について、考えてみました。

 今回は日ごろ頻繁に耳にする言葉である「ブランド」について考えたいと思います。

 ブランドと聞いた時に、多くの人が思い浮かべるのは、海外の名門企業が作り出す高級な製品や、そのロゴやマークのことでしょう。日本で「ブランド品」という言葉は、高級な有名ブランド製品を意味するものとして使われているのが一般的なのですが、実際には「ブランド=高級品」ということではありません。

 ブランドを直訳すると、「銘柄」「商標」となりますが、その語源をたどると、焼き印を押す意味の「Burned」となります。つまり、他者の家畜と区別するために、自分の家畜に焼き印を施したことから生じた言葉であると言われています。そしてそのブランドをつくり上げることを「ブランディング」と呼ぶのですが、それは他との差別化のステップでもあり、その他者との違いを発信して周囲から認知してもらうことにあります。

 現在のように「モノ余りの時代」と言われて久しい時代においては、良いモノを作ってもなかなかモノが売れない時代になっています。特に既存販路を持たない地方の中小企業にとっては、独自の商品を企画開発し、たとえその商品に良いデザインを施したとしても、必ずしも売れる商材となるとは限らないのです。

 そこで必要とされるのが強いブランド力です。では、世の中に存在する多くの企業の中で市場競争を勝ち抜く強いブランドと、その他大勢になってしまう弱いブランドに分かれてしまうポイントは、どこにあるのでしょうか。

 数多くあるブランド群から頭ひとつ抜けだす強いブランドには、幾つかの特徴があります。その中でも最大の特徴であり、最も重要な要素があります。それが「オリジナリティー」です。同じ業種内の同業他社と明確に区別される何らかの「オンリーワン性」を持つことが重要な要素となります。そのためには会社としての軸足をどう持つかという視点が必要で、まず自社の業界内での立ち位置や個性を知り、個性を磨く事で、強みになり、強みをさらに強調しながら情報発信していくことで、他との差別化となり、周囲から特徴を認知され、それがやがて第三者から見ればブランドになっていくというステップを描いていくことが重要だと思っています。

 「◯◯と言えばA社」と誰からも認知される強烈な個性があることで、その企業のロゴマークのデザインも、自社商品のデザインも、おのずと他社とは異なるものになってくるはずです。それが企業規模の大小を問わず、一見飽和状態に思える市場へ向けて突破口となる「一点突破」のきっかけになることでしょう。



プロダクトデザイナー、テシマデザインスタジオ代表 手島彰 前橋市下佐鳥町

 【略歴】筑波大卒。富士重工業で初代インプレッサのデザインや事務用品のプラスで家具の企画開発を担当。2007年独立。グッドデザイン未来づくりデザイン賞受賞。

2017/03/10掲載