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三山春秋

2017/02/24【三山春秋】 1894年から95年にかけての日清戦争は近代日本が初めて経験した本格的な対外戦争…

 
 ▼1894年から95年にかけての日清戦争は近代日本が初めて経験した本格的な対外戦争だった。人々の関心は高く、当時の絵師は戦場速報の意味合いが強い多色刷りの版画、戦争錦絵を盛んに制作した

 ▼「最後の浮世絵師」と呼ばれる小林清親もその一人。明治の初め、西洋文明が流れ込んできた東京にあって古いものと新しいものが交錯する中に美を見いだし、光と影を効果的に用いる「光線画」を編み出した

 ▼1876年に出版した版画「東京新大橋雨中図」など名所図シリーズは飛ぶような売れ行きとなり、自由民権運動の高まりとともに 数々の風刺画を描いた。日清戦争時には光線画で培った光と影の表現を生かした戦争錦絵を発表している

 ▼この清親の作品を含む戦争錦絵が昨秋、渋川金島小で見つかり、市教委が26日まで、「日清戦争錦絵展」と銘打って金島ふれあいセンターで展示している

 ▼錦絵に没頭していたころについて、小説家の村松梢風は『本朝画人傳』で次のように書いている。版木彫りや 刷りの職人で出征した者がたくさんあり、「年末になると出征者の家族はほとんど皆困難をしたので、清親は自分が戦争絵をかいて得た金を残らずそれらの家にばらまいてしまった」

 ▼そんな「最後の浮世絵師」の姿を思い浮かべながら錦絵の前に立つと、感慨が一層深くなる。