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《移住者の四季 春5》高崎・阿部さん一家 幸せの形6人で追う 

 
 4月中旬の日曜日。高崎市倉賀野町の住宅街にある一軒家に春の日が差し込み、親子の話し声が響く。

 「学校はどんなところが楽しいの」「んー、休み時間」。阿部功(41)の質問に、小学校に入学したばかりの長男、遼太郎(6)が答えた。「あとは給食だよね」と妻の忍(44)が続ける。「そう。全部食べた」。給食でどんなパンが出たかという話題に、長女の和佳奈(5)は「クロワッサンみたいなパン?」と反応する。

 「最初はお父さんのお弁当がいいと言っていたんですけどね。今は『給食おいしい』って」。そう話す功は少しさみしげだ。

 一家がこの場所に移り住んだのは2013年。東京でサラリーマンをしていた功は仕事を辞め、専業主夫になった。「掃除は嫌いではないけど、料理は好きじゃないと分かりました」。そう言いながらも、台所に立ち、幼稚園に持たせる弁当を作った。

 功は宮城県、忍は埼玉県の出身。この場所に家を持つことを決めたのは「前に住んでいた頃の印象が良かったから」だ。

 09年の結婚を機に、看護師の忍が勤めていた高崎で生活を始めた。功は当初、新幹線通勤していたが、間もなく勤務地が変わりそれも難しくなった。遼太郎を妊娠していた忍が仕事を辞め、都内へ引っ越した。

 夜勤もある忙しい仕事で毎日疲弊していた功と、見知らぬ土地で子育てを始めた忍。やがて2人の間に不協和音が生じ始めた。「もう仕事辞めたら」。忍に言われ、決心した。

 会社には慰留され、生活していく上で金銭面の不安もあった。「相当悩んだ」というが、当時は「仕事を辞めるか、夫婦をやめるかだった」。家庭より仕事優先が当たり前という社会の空気、ストレスが由来であろう慢性的な体調不良。「外に出なければ気付かなかった」と功は振り返る。

 高崎市内で家を探し、忍は看護師に復職。宮城県から功の両親も呼び寄せ、6人で暮らす。最初はやりたい仕事を求めて1人で高崎にやって来た忍は「だんだん家族が増えちゃって」と笑う。今はこの家族の形がいいと思う。

 愛犬コメが家族の集まる部屋にやって来て、様子をうかがう。この家で暮らし始めた頃、子どもたちはまだ2歳と1歳だった。成長した遼太郎に「小学生になってやってみたいことは」と聞くと、迷わず「宿題!」。家じゅうにまた笑顔が広がった。(敬称略)

3世代と愛犬でにぎやかに暮らす阿部さん一家

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