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三山春秋

2017/03/03【三山春秋】 独特の美学に貫かれた映像で知られる映画監督、鈴木清順さんが…

 
 ▼独特の美学に貫かれた映像で知られる映画監督、鈴木清順さんが2月13日に亡くなった。公開中の話題作「ラ・ラ・ランド」のデイミアン・チャゼル監督が影響を受けたと語るなど内外に信奉者が多い

 ▼“清順美学”に魅せられた映画人の中に、渋川市出身の故曽根中生さんもいた。曽根さんは、鈴木さんの下で脚本家や助監督として経験を積み、1971年に監督として一本立ちした

 ▼成人映画が主な活躍の舞台だったが、個性的で強烈な表現は映画ファンから熱烈な支持を受けた。一般映画でも「花の応援団」シリーズや「BLOW THE NIGHT! 夜をぶっとばせ」、「博多っ子純情」をヒットさせた

 ▼JR渋川駅前で喫茶店を営む群馬信一郎さん(79)は、曽根さんと渋川高、東北大の同窓で終生交遊を続けた。曽根さんも自伝に、喫茶店のことを、故郷で「ただ一カ所、安心して立ち寄れる」場所と書いている

 ▼群馬さんは「曽根は無口だが、なんともいえない、人を引きつける魅力があった」と話す。赤ペンの書き込みだらけの次回作のシナリオを見せながら「今度のは、いい映画になりそうだ」と語る姿を今も思い出すという

 ▼80年代に映画界を離れた曽根さんは、再評価が進み始めた2014年に76歳で亡くなった。残された作品群には、時代の空気と生々しい人間の姿が焼き付いている。