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三山春秋

2017/03/11【三山春秋】 激しい揺れに社内のあちこちから悲鳴が上がった。新年度の…

 
 ▼激しい揺れに社内のあちこちから悲鳴が上がった。新年度の紙面企画を協議する直前だった。予定は吹っ飛び、情報が交錯する中で翌日の紙面づくりに向けた会議に臨んだのを覚えている

 ▼6年前の3月11日。未曽有の大災害となった東日本大震災では東北3県はもちろん、県内でも多くの人たちが家族や知人の安否確認に追われただろう。翌日の紙面のことばかり考え、家族の状況にまで思いが回らなかった自らの未熟さを思い出す

 ▼遠隔地の災害と思っていたが、あっという間に身近な生活にまで影響が出た。計画停電、給油待ちの長い車列、物流の混乱による生活必需品不足、続々と本県入りする避難者―。経験のない事態に戸惑いつつ紙面化に取り組んだ

 ▼厳しい状況を報じる本紙で、心に残る言葉があった。「家族と生きていられる。それだけで幸せ」。つらい思いを抱えた避難者だが、亡くなったり安否が分からない友人やその家族への配慮がにじんでいた

 ▼薄れつつある記憶と当たり前になった便利な日常。日々の生活で不満がたまる場面もあるが、そんな時はこの言葉を心に刻む。仲間と力を合わせて仕事をし、家族とともに生活できる幸せをかみしめる

 ▼大自然の起こした不条理な災害。巻き込まれた人たちの無念さは計り知れない。あの日を忘れず、語り継ぐ気持ちを大切にしたい。