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視点オピニオン21

恩返し 誰かを支える存在に

農業法人産直倶楽部広報 中島沙織
 
 単に地域の田んぼの景色を子どもたちにも残したいとの思いで耕作面積を拡大した水稲栽培。今年の耕作面積は自宅近くに空いていた田んぼだけでも約6ヘクタール弱となりました。休耕地の耕作は街づくりには欠かせないことですが、「地域のために」などと大それたことはまだ何もできておりません。

 逆に手順の悪さ故に後手に回ってしまった草管理のせいで皆さまにご迷惑を掛けている状況です。お盆前には伺っていたごあいさつ回りも今年はお盆明けとなってしまいました。情けない気持ちと管理不十分な土地へのおわびの気持ちを込めて伺わせていただきました。お叱りを受けるだろうと覚悟さえしていましたが、予想に反して皆さまから温かなお言葉をいただくことができ、とてもうれしく目頭が熱くなりました。

 本格的な田植え期間となる6月中旬から7月上旬では早朝から夜間まで土日祝日も休む間が無く、家事も子どもたちのことも何もできない期間が数週間ありました。毎晩犬の散歩で静かな田んぼ道を歩きながら、本当にこれでよかったのかと思い悩みながらの作業でした。

 ですが田植えが終わり、稲の根がしっかりと田に張ったころ、空を写した田の水面はとても美しく、それはまるで田んぼに立つ自分が雲のように空に浮いているかのような錯覚を覚えるほどでした。つらさ以上の感動が田んぼにはありました。田植え作業中に地域の皆さまから頂いた声が何よりの励みとなりました。

 頂いたご恩をいつお返しできるかはわかりませんが、今年1月に地域に暮らす方々が気軽に集え、支え合える街づくりを目指したOTA FACTORY株式会社を有志数人で立ち上げました。農作業だけではカバーできないさまざまな方への自立支援や、皆がより楽しく暮らすための活動のお手伝いをさせていただいております。今年7月には同敷地内にOTA FACTORY Sweets +(スイーツプラス)をオープンし、プリンや焼き菓子の製造販売を始めました。プリンに欠かせない牛乳は太田市内の東毛酪農さんの物を使用しています。

 今年から稲わらを畜産に利用する耕畜連携に取り組む予定です。その提携牧場さんが偶然にも東毛酪農さんの組合員でした。私たちが作ったわらを食べて育った牛。その牛たちが生産する牛乳を使い、同じ市内でプリンを作り販売ができることに、偶然ですが大きな感動を覚えました。

 秋野菜が収穫になるころには所属する産直倶楽部イタリア野菜研究会の生産物で加工品製造に取り組む予定です。

 まだまだ農業も街づくりも支えられてばかりですが、いつか私も誰かを支えられるような小さな一つになれるよう、日々励んで参りたいと思います。



農業法人産直倶楽部広報 中島沙織 太田市高林北町

 【略歴】東京都出身。太田市の仲卸会社勤務を経て、関連の農業法人に移り、2012年に独立して農業を営む。農林水産省の農業女子プロジェクトメンバー。

2017/09/02掲載