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三山春秋

2017/02/19【三山春秋】 富岡製糸場の創業期に導入された生糸の水分検査器が岡谷蚕糸博物館に展示…

 
 ▼富岡製糸場の創業期に導入された生糸の水分検査器が岡谷蚕糸博物館(長野県岡谷市)に展示されている。フランス製で、高さ約1メートルの円筒正面に鶴や亀、松竹梅を描いた七宝焼の装飾が施されている

 ▼高林千幸館長によると、吸湿性の高い生糸は無水状態まで乾燥した重さに公定水分率を掛けた値で取引するのが世界標準だった。だが、幕末の開国間もない日本では無水量を測定せず、故意に水分などを増やし価格を高くする不正が横行、富岡製糸場に初めて近代的な検査器が導入された

 ▼検査器近くには製糸場創業時の仏式繰糸器300台のうち現存する2台を設置。140年以上前、工女が器械繰糸の技術を習得したのだろう。本物の存在感に圧倒された

 ▼博物館は2014年のリニューアル時に現役の宮坂製糸所を併設。動態展示エリアでは煮た繭のにおいと機械音の中、糸引き作業を間近に見ることができる

 ▼富岡製糸場は26日まで、製糸工程の計測機器に焦点を当てた資料展を開催中だ。片倉工業時代の水分検査器や台ばかり、糸むらの検査器を紹介。繭や生糸の重量を量り、品質検査する大切さを示している

 ▼県は富岡市中心街の「富岡倉庫」に世界遺産センター(仮称)を整備することを決めた。関係者が知恵を絞り、五感を通して絹産業遺産の価値が 分かる施設を完成させたい。