教えて!ドクター

認知症は高齢者の病気だと思っていませんか? 65歳未満で発症する「若年性認知症」は、病気だけでなく経済的問題が生じたり家族の精神的・身体的負担が大きくなりがちです。昨年6月、前橋市下大島町の上毛病院は県の若年性認知症支援コーディネーター事業を委嘱されました。理事長で精神科医の服部真弓さんは「初期症状は家庭よりも職場で出やすく、見つかることが多い疾患です。早期治療につなげるために、まずは病気について多くの人に正しく理解してほしい」と話します。


認知症は 若い人も発症する!?

働き盛りの男性に多い

若年性認知症は高齢者に比べて進行が早く、女性より男性がなりやすい傾向があります。働き盛りの現役世代なので、発症すると本人だけでなく家族の生活にも影響が出ると考えられます。仕事に支障が出たり、退職を余儀なくされて経済的に困難な状況に陥ることもあります。

診断が付くと本人や家族の精神的なダメージはかなり大きいと思いますが、それでも早期発見すれば、①早期治療で進行を遅らせることができる②本人の希望する治療が選べる③将来に向けて、家族が話し合う時間を持てる④早い段階から自治体や医療機関などの支援を受けられる─などの利点があります。

職場でミスが増える

認知症の原因疾患はさまざまあります。若年性認知症で多いのは、脳梗塞などの「血管性疾患」と「アルツハイマー型」です。ほかにも、交通事故などで脳が損傷される「高次脳機能障害」、幻視や妄想、抑うつ状態などの症状が出る「レビー小体型」、怒りっぽくなったり非常識な振る舞いをするなど性格や行動の変化が大きい「前頭側頭型」などがあります。

初期症状は家庭よりも職場で出やすく、受診につながることが多いようです。「仕事のミスが目立つ」「今までこなしてきた仕事ができない」「アポイントを忘れてしまった」などの初期症状に周囲が気付いて医療機関につなげれば、早期発見、早期治療できます。

記憶障害や、時間や季節、人が分からないなどの見当識障害のほか、抑うつ状態になりやすいのが特徴です。職場で若年性認知症への理解が進んでいないと、本人は「以前のように仕事がスムーズに進まない」→「ミスをして上司から注意されたり、何故ミスをするのだろうと気持ちが落ち込む」→「抑うつ状態になる」→「仕事を休みがちになる」と悪循環に陥り、症状も進行してしまいます。うつ病と間違われてしまうケースも少なくありません。

ワンストップ窓口

診断が付いたら、本人だけでなく家族も一緒に病気と向き合うことが大切です。原因疾患によっては進行を遅らせたり症状を抑える薬が使えます。また、経済的・心理的サポート、時には家族の心のケアも必要です。地域で安心して暮らせるように、ワンストップの相談窓口として総合的に支援するのが若年性認知症支援コーディネーターの役割です。少しでも長く仕事が続けられるよう企業に働きかけたり、主治医と産業医をつなげます。休職中に受けられる傷病手当など、状況によって使える制度やサービスを組み合わせて利用できるよう関係機関と調整をしたり、さまざまな悩みや困りごとの相談にも乗ります。

若年性認知症は本人が自覚しづらいので、周囲の人の“気付き”が早期発見、早期治療につながる鍵です。気になる症状があったら、県内に13カ所ある県認知症疾患医療センターや県若年性認知症支援コーディネーター事業の相談窓口へ電話をしてください。

県若年性認知症支援コーディネーター事業「相談窓口」
027-266-1748(上毛病院内、若年性認知症支援コーディネーター・平方仁美)。
月~金曜日(祝日と年末年始を除く)の午前9時~午後5時。
事前予約で面接も可。相談は無料。