介護の現場から

ユニットケアで 手厚い介護 ─風光明媚な 「鐘の鳴る丘愛誠園」─

赤城山の南面に位置する前橋市東金丸町に、特別養護老人ホーム「鐘の鳴る丘愛誠園」がある。北に鍋割山が迫り来るようにそびえ立つ風光明媚な場所で、70人を超える入居者たちは、手厚い介護や援助に支えられて、周囲の自然を満喫しながら静かに余生を送っている。家庭的な雰囲気を大切にしている愛誠園を訪ねた。

風光明媚な場所に建つ 鐘の鳴る丘愛誠園

長期の定員は77人

赤いとんがり屋根の時計台がシンボリックに立つユニット型の2階建て施設。1ユニット10人の入居が可能で、8ユニットからなる。

まず手前の事務所棟にお邪魔した。玄関を入った右手に、大きな吹き抜けをもつ喫茶室があり、その正面に薪ストーブが置かれていて、赤々と燃える火がゆらゆらと揺れていた。

「ここはイベントなどの際に、入居者の皆さんが集まる場所です。ストーブの火は見ていて心が和み、体の芯まで暖めてくれます」と園長の関口文子さんが、薪ストーブを使用しているわけを話してくれた。

創設は1972年と古く、老朽化に伴って12年前に前橋市堀越町から現在地に新築移転した。社会福祉法人鐘の鳴る丘愛誠会(品川道雄理事長)が運営しており、定員は長期入居77人、短期入居3人となっている。

「特別養護老人ホームとしては県内で3番目に古い歴史のある施設です」と関口さん。そのせいかベテランの介護や看護職員が多く、安心してお世話をしてもらえるのが大きな魅力となっている。

ユニット別に食事楽しむ

施設について説明する 園長の関口さん(左)と次長の望月さん

特別養護老人ホームは、日常生活に常に介護が必要で、家庭での介護が困難な高齢者に、食事や入浴、排せつなどの介護と、リハビリやカウンセリングのサービスを提供する施設だ。入居は原則として65歳以上で、「要介護3以上」の介護認定を受けていることが条件となっている。

愛誠園の入居者もほとんどが車いすの生活で、ユニットごとに配置された介護職員が、日常生活のすべてを手助けしている。ケアマネージャーを統括している同園次長の望月栄美さんは「担当制にしているので、入居者と職員の信頼関係が生まれ、介護がスムーズにできています」と話す。

入居者は全員が個室の生活で、約18平方メートルの各個室には電動ベッドのほか、洗面台やトイレ、エアコン、床暖房などが整備されている。中央にはリビングとキッチンがあり、食事の際はユニットの全員が顔を合わせて、おしゃべりをしながら食事を楽しむ。「できるだけ家庭的な雰囲気を大切にしています」と望月さん。

尊厳ある個別ケアを推進

ユニットケアで入居者と介護職員の信頼関係が生まれ、 介護もスムーズ行われている

食事と並んで入居者が楽しみにしているのが入浴の時間。各ユニットには専用の個人浴室(ヒノキ風呂)があり、機械浴槽も1、2階に1台ずつ設置されている。

事務所棟から廊下を通って居住棟に行くと、入浴待ちの88歳の女性に出会った。自宅は旧宮城村で、7年前に入居したという。「娘がひ孫を連れて時折、会いに来てくれます」とうれしそうに話していた。

恒例行事として花見会や秋祭り、誕生会などのほか、鐘の鳴る丘愛誠会後援会長のたかの友梨さんらによる「母の日エステ」もあり、入居者に好評を得ている。

「ここでは尊厳のあるケア、一人一人に合った個別ケアを推進しています」と関口さん。食事も管理栄養士による栄養ケアマネジメントを実施し、個々の良好な栄養状態を維持している。周囲は自然が豊かで、空気がきれいだ。静かに落ち着いた生活を送りたい、というお年寄りにはおすすめの施設である。

「個室に少し空きがあるので、入居希望者は連絡してください」と関口さんは話している。