シリーズ からだ元気

これから旬をむかえるシュンギクは、野菜の中でも栄養素がとても豊富です。シュンギクの濃厚な緑色・独特の香り・食感を大いに楽しんで、寒い冬を乗り切ってください。

シュンギクは東アジアで食べられており、旬は11月から3月です。葉と茎の部分を食用とし、各種ビタミン・カルシウム・葉緑素などが豊富に含まれています。濃厚な緑色と、独特の香りを生かして、すき焼きなど鍋料理や天ぷらのネタとして使われるほか、ゆでれば、あえ物・おひたし・ごまあえなど、生ではサラダにも使われます。立ち食いそば・うどん店では、シュンギクの天ぷらは特有の香りと食感が好まれ、定番メニューの1つになっています。


執筆者略歴 はやし・きよし
名古屋大学農学部農芸化学科を卒業後、農林省食品総合研究所研究員を経て、(独)農業・食品産業技術総合研究機構理事、食品総合研究所所長、2013年から東洋大学食環境科学部学部長健康栄養学科教授。専門は食品科学。日本応用糖質科学会学会賞(2011年)、文部科学大臣賞(2002年)、第59回注目発明受賞(2000年)。


元気な暮らしに役立つ栄養素のお話…林清 東洋大学食環境科学部学部長健康栄養学科教授 栄養素の豊富な シュンギクを食べて、 より健康に

特徴と品種

シュンギクは、独特の香り・苦み・色調が大きな特徴です。シュンギクの香りは、主にαピネンとペリルアルデヒドという成分によるものです。αピネンは「ひのき」に含まれる香り成分で、ペリルアルデヒドはシソに含まれる香り成分です。茎には苦みはほとんどなく、葉のほうが苦みを強く感じます。

シュンギクは栽培しやすいのですが、傷みやすいため都市近郊で栽培されています。葉の切れ込みをもとに、大葉種・中葉種・小葉種に分類できます。大葉種では、葉は大きく、切れ込みが浅く、葉肉が厚く、葉は中葉種よりやわらかく、苦みが少ないです。中葉種は、最も多く栽培されている品種で、側枝の分岐が少なく茎が伸びやすい「摘み取り型」と、側枝の発生が旺盛で株ごと収穫する「株張り型」の、2つのタイプがあります。小葉種は、葉は小型で切れ込みが多く、葉肉が薄く、収量が少なく、トウ立ちも早いため、あまり栽培されていません。関西では大葉種、関東では中葉種が好まれています。最近は、サラダなど生で食べることができるアクの少ない品種も開発されています。

成  分

脇役的なイメージの強いシュンギクですが、栄養素の面ではとても優れています。シュンギクの100gあたりの一般成分を表1にまとめました。カロリーは100gあたり(葉、生)で22kcalと低く、鍋物でよく食べられているハクサイと比較すると、廃棄率が低く、たんぱく質、食物繊維、灰分はハクサイよりも2倍以上多いという特徴があります。

ミネラル

灰分が多いことから、ミネラル分が豊富です(表2)。ミネラルとしては、ナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウム・リン・鉄・亜鉛・銅・マンガン・ヨウ素・セレン・クロム・モリブデンを含んでおり、とりわけ、骨の健康に必要なカルシウム、貧血に有効な鉄・マンガン・モリブデンなどを多く含んでいることが特徴です。

ビタミン

シュンギクは、βカロテンを主体とするビタミンA(レチノール活性当量)、ビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、葉酸、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン)、ビタミンC、ビタミンE(α-トコフェロール)、ビタミンKを含んでいます(表3)。

ビタミンA(βカロテン)の含有量は野菜類の中ではトップクラスで、ホウレンソウやコマツナより多く、ゆでたものを100g食べればビタミンAの成人の推定平均必要量の7割(男性)から9割(女性)を摂取できます。豊富なビタミンA(βカロテン)には抗酸化作用があり、病気や老化原因となる活性酸素の発生を抑える作用、免疫力の向上、発がん抑制作用、眼球乾燥の予防、粘膜や肌の健康を保つ効果が期待できます。

骨にカルシウムを定着させるビタミンKも豊富なので、骨粗しょう症の予防にも有効です。また、ビタミンB群の葉酸も野菜の中では多い方です。葉酸は「造血のビタミン」と呼ばれ、ビタミンB12と協調し赤血球合成に関与するので貧血の改善効果が期待できます。かぜやがんの予防、シミやソバカスなどの肌のトラブル予防に効果があるビタミンC、がんや老化防止に有効なビタミンEなども豊富に含まれています。

また、シュンギクの緑色の色素成分であるクロロフィル(葉緑素)には、コレステロール値の低下、血栓の予防、発がん抑制などの効果があるといわれています。

抗酸化成分

シュンギクの抗酸化成分は、加熱調理しても安定であるとの研究報告があります。シュンギクの主要な抗酸化成分はフェノール性成分のクロロゲン酸、3,5-ジカフェオイルキナ酸、4-スクシニル-3,5-ジカフェオイルキナ酸であり、ゆで始めから30分後までのシュンギクとゆで汁に含まれるこれら3成分を測定した結果、通常の調理加熱条件(沸騰水中30秒程度)ではこれらの成分はほとんど失われず、また加熱を続けても3~6割がゆで汁に溶け出すものの成分の熱分解は少ないことが明らかになりました。鍋物で長時間加熱調理した場合には、おかゆなどで汁も一緒にいただくのが良いでしょう。

期待される効果

シュンギクに含まれる成分からは、免疫力向上、感染症の予防、老化防止、ドライアイ・眼精疲労の改善、骨粗しょう症の予防、貧血の改善、がん予防などが期待できます。