元気流儀インタビュー

盲導犬や介助犬など多分野で人間のパートナーとして生活を支えているイヌ。犯罪捜査や犯人追跡というイメージが強い警察犬は、行方不明となった認知症高齢者を捜索する機会が多くなり、超高齢化社会が進む中でさらなる活躍が期待されている。県警が直接飼育する直轄警察犬のほか、民間の警察犬訓練士が育てた嘱託警察犬が担う役割も大きくなっている。県内最年少の嘱託警察犬訓練士である狩野有香さんは昨年1年間、行方不明者の捜索活動などに携わった。訓練所での5年間の経験を生かして、今年4月に独立する。新たに相棒となった嘱託警察犬のモモ号と戌[いぬ]年に飛躍を誓う。


相棒とともに 高齢者を守る

服従訓練を通してモモ号との絆を深める狩野さん

必ず見つけたい

─県警によると、直轄警察犬と嘱託警察犬を合わせた昨年11月末までの出動件数は302件で、うち行方不明者の捜索が247件だった。行方不明者は外出したまま家に戻れない認知症高齢者が多いという。狩野さんは一昨年の秋、合格するまで1?2年かかるという嘱託警察犬訓練士試験を初受験にもかかわらず最年少で合格。捜査や捜索を担当する嘱託警察犬のディナ号、アップル号と昨年1年間、活動した。行方不明者の捜索が任期中で最も多く、20回ほど出動した。

出動は夜遅くになることもあります。家族や警察官が探し回っても見つからなかった時、私たちの出番となります。イヌは遺留品のにおいや足跡をたどって行方不明者を探し出しますが、時間の経過とともに足跡やにおいが消えてしまったり、他の人のにおいが混じってしまうことで、行方不明者を探すことが難しくなる場合が多いです。それでも「来てくれた」と私たちを頼りにする行方不明者の家族の姿を見ると、必ず見つけ出したいという思いに駆られます。

きちんと叱る

においや足跡など、 わずかな手がかりをもとに不明者を捜索するため、 日々の訓練が欠かせない

─実家でもラブラドルレトリバーを飼っていた。小さいころから身近にいたが、イヌと関わる仕事に興味を持ったのは、小学生の時に母親が飼い犬の散歩中に坂道で引っ張られて転んでしまったことがきっかけだった。人とイヌの関係をより良い形に変えるしつけ方に注目した。進路はトリミングや繁殖などを学べる専門コースがある高校を選んだ。

母が転倒した後、飼っていたイヌは父が本を見ながら勉強してしつけ直しました。私も問題行動があるイヌをしつけるテレビ番組を見て関心を持ち、将来の進路を決めました。小さいころにドラマで見た警察犬の姿が格好良かったので、私も育ててみたい思いもありました。

─警察犬の訓練は合図によって伏せさせたり、障害物を越えたりさせる「服従訓練」のほか、足跡や遺留品のにおいをたどらせる「足跡追及訓練」などを行う。訓練所では問題行動がある飼い犬のしつけも受け付けている。それぞれ大きく異なる性格に注意しながら、リーダーとして毅然とした姿勢を見せて、イヌとの信頼関係をつくっている。

朝5時から夜8時までイヌと一緒にいると時間はあっと言う間に過ぎてしまいます。問題行動があるイヌは噛んだり、走り回ったりするので、一緒にいるだけでも体力が必要です。警察犬の訓練もしつけの延長にあります。しつけや訓練は厳しいものと思うでしょうが、イヌにとっては遊びのようなもので、よくできた時は褒めて、楽しい雰囲気をつくってスキルを上げていきます。ただ、言うことを聞かない時はきちんと叱ってあげなければなりません。

野菜で健康維持を

─昨年夏にジャパンケンネルクラブの訓練士の資格を取得した。秋には2年目となる嘱託警察犬訓練士試験に再び合格し、新しく相棒となった嘱託警察犬のモモ号とともに今年も1年間活動する。訓練所での5年間の修業が終わる4月には、実家がある渋川市へモモ号と一緒に戻る。独立して飼い犬の出張しつけ教室を開く予定だ。

独り立ちするのは不安もありますが、今まで学んできたことをきちんとやっていきたいです。高校時代はバスケットボール部で鍛えていたので、体力には自信がありますが、これからは一人でやっていくためにも体調管理は大切だと思っています。実家の近所では新鮮な野菜が取れるので、食事面から気をつけたいです。モモ号は行方不明者の捜索のほか、災害時の救助活動に出動する予定です。モモ号が活躍する機会がないのがベストですが、万が一の時は地元の皆さんの支えとなれるように訓練に励みたいと思っています。