介護の現場から

自立を支援し 在宅復帰促す ─明るく家庭的な 「老健くろさわ」─

治療を終えて病院から退院した人や、生活機能が低下した人の在宅復帰を支援する介護老人保健施設。黒沢病院でおなじみの医療法人社団美心会が運営する「老健くろさわ」(高崎市中居町)もその一つ。手厚い医療ケアに加えて、機能訓練設備が充実しており、多くの利用者がリハビリに励み在宅復帰を果たしている。オープンから間もなく丸3年を迎える同施設を訪ねた。

従来型とユニット型の施設を備えた 「老健くろさわ」

リハビリ提供に力点

落ち着いた雰囲気のユニット型個室。 高さが変えられる超低床ベットが転倒・転落防止に効果

「老健くろさわ」は、鉄筋コンクリート造りで遮音性はよく、冬は暖かく夏は涼しい、一部4階建てで、東棟と西棟に分かれている。東棟は従来型施設で、個室(8室)・2人室(2室)・4人室(12室)の計60床を備える。西棟は個室のみ40室(床)のユニット型施設だ。いずれも入所(ロングステイ)と短期入所療養介護(ショートステイ)に対応しており、従来型には通所リハビリテーション(デイケア)も併設されている。

「『笑顔あふれる暮らしの継続』が当施設の経営理念です」と高橋徳之施設長。利用者の意思と人格を尊重し、明るく家庭的な雰囲気を大切にして、利用者の立場に立ったサービス提供を心掛けている。

最も特徴的なのが、利用者の社会復帰に不可欠のリハビリテーションに力を入れている点だ。「集団リハビリカレンダー」に施設職員の意気込みが顕著に現れている。

「学びの老健」を貫く

430㎡の広々とした専用室と充実した リハビリマシン(デイケア)

土曜日を除く毎日、リハビリのスケジュールを書き込んだカレンダーを月ごとに作製し、これに沿ってさまざまなリハビリを実施している。陶芸や音楽・英会話・生け花などジャンルはバラエティーに富んでいる。

「私どもは“学びの老健”をコンセプトに行っています」と副施設長の田島良一さん。「充実した入所生活を送ってもらい、在宅復帰後に趣味が一つでも増えてくれたらうれしい」と話す。

例えば、陶芸は電気釜を使って焼く本格的なもので、1カ月かけて参加者がそれぞれオリジナル作品を完成させる。「手指のリハビリや脳トレに役立つので好評です」と事業推進課係長の青木ゆかりさん。湯飲み茶碗などは入所時の思い出の品になると喜ばれている。

参加はすべて自由で、ギター演奏の喫茶レクリエーションやカラオケを交えた音楽療法は、たくさんの利用者でにぎわうという。「アレンジメントフラワーでは、花を生けている人たちの表情が生き生きとしてくるのが分かります。花の名前を言い当てるなど、認知症予防の想起訓練にも役立っています」と青木さんはうれしそう。

スタッフや設備が充実

施設について説明する高橋施設長(中央)と 田島副施設長(左)、青木係長

こうした活動を支える職員やスタッフが充実している。健康管理を行う医師や看護師をはじめ、身の回りの世話をする介護士、リハビリ担当の作業療法士や理学療法士、食事面での管理栄養士ら総勢100人近くを数え、コミュニケーションを密に情報を共有しながら個々に合った支援を行っている。

「私たちは生活のすべてを機能改善の機会ととらえ、最良のリハビリを提供するよう努めています」と田島さん。入所の際、利用者に自宅から愛用の食器と箸を持参してもらっているのも、できることは自分でやるように仕向けるための一環だという。

設備も充実していて、各階に機能訓練室やゼミ室などを備え、気軽にリハビリを受けられるように配慮している。1階にあるデイケア用のリハビリ室は、スポーツジムのような広さで、筋力トレーニング用のマシンもそろっていて、在宅復帰を果たした利用者も通ってくるという。