夏の食卓に お勧め野菜

全国1位の最高気温を記録することの多い邑楽・館林地区で、ニガウリ(別名・ゴーヤ)の出荷が本格化した。暑さに着目して17年前から栽培が始まり、本州で最も多い生産量を誇る。独特の苦味成分には胃腸の働きを高め、消化液の分泌を促し、食欲増進などの効果をもたらす。食が進まない夏場の食卓に、ぜひニガウリ料理を!

ニガウリ栽培 館林市
内田 邦雄さん(70)

館林市南部の田園地帯。広々とした畑地の真ん中に、大きな野菜栽培用のハウスが数棟。「ここでニガウリを栽培しています」と言いながら、内田さんはそのうちの1棟に案内してくれた。

ハウス内はムッとする暑さだ。高温を好むニガウリの苗が元気よくツルを延ばし、青々とした葉で緑のトンネルを形成している。高さ2mほどの“天井部分”から、大小無数のニガウリの実が垂れ下がっている。

内田さんは25cm以上に育った実を選び、収穫用のはさみを使って慎重に切り取っていく。1本手にすると、ずしりとした手ごたえ。「300gはありますよ」と内田さんが教えてくれた。

出荷のため箱詰めしたニガウリを手にする内田さん

苦味が少なく肉厚

高校を卒業後、農家の跡取りとしてキュウリ、トマトなどのハウス栽培に携わっていた内田さんが、ニガウリを手掛けるようになったのは17年前。もともと沖縄や九州地方特産の夏野菜だが、気温の高い土地柄だけにここでも栽培できると地元のJAに勧められて、半信半疑で取り組んだ。「最初はうまくいくか心配でした」と振り返る。

栽培品種は「百成レイシ2号」。名前のようにたくさん実を付けるのが特長で、苦味が少なく、果肉が肉厚で大きく、食べ応えがある。 内田さんは毎年、ハウスと露地の両方で栽培しており、栽培面積は合わせて1haに上り、定植する苗は1000本を超えるという。

作業は家族とパートの5人でこなしている。内田さんは毎朝4時過ぎから収穫作業を行い、妻と三男夫婦が交配を担当している。ニガウリは黄色の小さな花を咲かせるが、人工授粉をしないと実がなりにくい欠点がある。「夕方には花が散ってしまうので、午前中が勝負です」と内田さん。忍耐力を要する地道な作業だ。

収穫したニガウリは全員で箱詰めをして、JAに出荷する。午後は延びたツルの固定や脇芽摘みなど、作業は夕方まで続く。

春から年末まで収穫

ハウス栽培のおかげで、収穫は夏場だけでなく、4月から12月まで長期間にわたる。以前はホウレンソウも出荷していたが、2年前から栽培品目をニガウリだけに絞った農業経営を行っている。

出荷の規格は長さ25~30cm、重さ270~330gと決められていて、これより小さくても大きくてもB級品扱いになってしまう。「少し油断すると、すぐに大きくなってしまうので、収穫の際に見逃さないよう注意しています」と苦笑する。また、露地栽培は雨や風などの天候に左右されやすく、病害虫による品質低下の心配もある。

「私はできる限り減農薬を心がけ、収量のアップに向けて堆肥と有機系の肥料に工夫を凝らしています」と力強く語る。現在、JA邑楽館林ニガウリ部会の会長を務め、会員300人とともに栽培技術の向上などに努めている。

「ここで取れるニガウリは生で食べてもおいしいです」と内田さん。薄切りにしてマヨネーズと和えたり、野菜サラダに加えたりして食べるのが好きだという。


元気な暮らしに役立つ栄養のお話…髙橋 東生 東洋大学食環境科学部健康栄養学科教授 体の余分な 熱を冷ます

ニガウリは、ウリ科ツルレイシ属の1年生つる草。東インドから熱帯アジア原産で、日本には17世紀に観賞用として渡来したといわれている。九州南部では主として家庭菜園に自家用野菜として栽培されていたが、近年は市場出荷もされている。ヨーロッパでも古くから観賞用として栽培されている。夏秋の頃に黄色の小花が咲く。果実にはイボ状の突起があり、熟すと裂開して紅色の肉をあらわす。果実には独特な苦味があり、これが食用としての風味となっている。

別名は“ツルレイシ”、地方名は“ゴーヤ”または“ゴーヤー”(沖縄)と呼ばれる。一部で“レイシ”といわれることもあるが、これは誤用でありレイシとは果実のライチー(Lychee)をさすものである。

成分特性

一般成分、無機質成分およびビタミンCを除くビタミン類はキュウリとほとんど同じ含有量である。

ニガウリの特徴は、ビタミンC含有量にあり100g中に76mg含んでいる。これはトマト(23mg)の約3倍、レモン果汁(50mg)の約1.5倍である。青ピーマンが同じ76mgで、キウイフルーツ(緑肉種)の69mgよりも多い。

観賞用のウリ科の植物には、「ククルビタシン」という苦味物質を有していることがある。食用ウリ科植物には、通常、「ククルビタシン」は含まれていないが、まれに観賞用と食用のものが交雑して「ククルビタシン」を含む食用ウリ科植物ができることがある。多量に摂取すると腹痛、下痢などの食中毒を引き起こすことが知られているので注意が必要である。ニガウリには「モモルデシン」という苦味物質が多く含まれている。その程よい苦味が調理方法によって生かされてくる。特に沖縄地方では、夏季に野菜が乏しかったころのビタミンCの給源としてその価値が高かった。最近では品種改良により苦味が少ないタイプも生産されているが、古くからのニガウリ好きの間では、不満が出ているともいわれている。古くから「邪熱を除け労乏(つかれ)を解し心を清し目を明らかにする」といわれており、清熱・消熱の機能性野菜として食べられてきた。「夏の月は毎日食ってよい」と説いている。医食同源をモットーとする薬膳にも、ニガウリは清熱・消暑の目的に使われている。

調 理

一般的に苦味や渋味、えぐみなどは食品の腐敗や過熟の行程で程度が増すことから、苦手意識を持つ人が多いようです。ニガウリでは、その苦味を和らげるための工夫として卵と一緒に炒めたり、酸味を利かせるなどの工夫をして食べます。さらに、ニガウリに多く含まれているビタミンCは、水溶性のビタミンのため、油で炒めるよりも水を使ってゆでるとその減少量が大きくなります。従って、ニガウリを卵と豆腐と一緒に炒めるゴーヤチャンプルーや卵とじは合理的な調理方法であるといえます。

他には塩もみや酢の物、卵の衣をつけた揚げ物、甘味をつけたピーナッツのみそあえ、みそ味の煮物など多くの調理がある。また塩漬け、黒砂糖と泡盛による漬け物もある。最近では、ジュースやゼリーに用いることもある。