香味野菜で 食欲を増進

連日、暑い日が続いている。熱中症を心配し、睡眠時にクーラーをかけっ放しにして体調を崩したり、暑さで食欲不振に陥ったりしている人は少なくないようだ。そんな人にお勧めしたいのが、食欲をそそる香味野菜だ。今が旬のミョウガには、胃腸の働きや血行を良くする成分も含まれている。毎日の食卓に少し添える工夫をしてみてはいかが。

ミョウガ栽培 東吾妻町
都所 耕治さん(67)

夏でも冷涼な中山間地を中心に、古くから栽培が行われているミョウガが、旬を迎えた。県内の代表的な産地の一つ、東吾妻町の都所さん方でも、収穫と出荷作業に追われている。「今年は猛暑の影響で、ミョウガの成長は少し遅れ気味です」と、都所さんは顔を曇らせる。湿気を好むミョウガは、乾燥を嫌うため、食用とする花蕾の育ちが悪いのだという。

栽培面積は30aで、数カ所に分散している。そのうちの1カ所に案内してもらった。杉木立に囲まれた谷間のようなくぼ地だ。80cmほどに育ったミョウガの苗が、日差しを避けるように青々とした葉を広げている。都所さんが根元の腐葉土を払いのけると、ピンク色のふっくらとしたミョウガが顔をのぞかせた。

収穫作業に汗を流す都所さん

自分で種から育てる

高校を卒業後、農家の跡継ぎとして農業を手伝うようになった都所さんは、ミョウガをはじめ各種の野菜作りに力を注いできた。

「かつてはコンニャクや養蚕が主力でしたが、今は1年を通していろいろなものを栽培しています」。延べ6haの田畑で、コメのほかにレタス、キャベツ、白菜、トウモロコシ、大根と季節に合わせて順次、栽培して出荷。冬場はタラノメも手掛けている。ミョウガもその一環だが、驚くのは野菜作りに加えて肉牛の肥育もやっていることだ。

「現在、106頭を育てています」と事もなげに話す。常に5~13人のパート従業員の手を借りて作業をこなしているが、牛の世話は都所さん自身ですべて行っている。「農業は計画的にやれば、たくさんのことができます」。日焼けした顔に笑みがこぼれる。

野菜は露地栽培が中心で、ほとんど種から育てている。6棟のハウスを所有しているが、いずれも苗作り用だ。「種から」というところに、野菜作りに対する都所さんの自信とこだわりが感じられる。

1日に100㎏を収穫

JAあがつまみょうが部会長を任され、ミョウガ栽培の普及と会員の技術向上などに努めている。おいしいミョウガ作りのこつを尋ねると、「冬場の土づくり」を挙げた。

「畑に肥料を入れた後、保温のために落ち葉を敷きます」と都所さん。落ち葉の厚さは15cmに及ぶ。ナラやクヌギなどの枯れ葉をゴルフ場に譲ってもらい、軽トラックで運び込む。「一番きつい作業です」と苦笑する。

7月下旬から始まった収穫作業は、9月まで続く。炎天下での収穫も大変だ。やぶ蚊対策をして、毎日4~5人でミョウガの葉をかき分け、根元をはって動き回る。色、形、大きさでA級品が決まる。「赤みを帯び、ふっくらとしたミョウガを見つけると、やはりうれしいです」。日が当たると緑色に変色してB級品に落ちてしまうので、枯れ葉を厚く敷くことが重要になる。

収穫量は1日約100kg。午後にパック詰めをしてJAに出荷する。ミョウガ料理は炊き込みご飯や炒め物、つくだ煮など工夫次第でいろいろ。都所さんは梅酢漬けや豆腐に添えるシンプルな食べ方が好きだという。

*制作協力/群馬県農政部

元気な暮らしに役立つ栄養のお話…笠原 賀子 NPO法人ヘルス・コミュニケーションズ 理事長 上品な赤桃色と 香り立つ風味

ミョウガは、ショウガ科、ショウガ属で、東アジア原産の多年生草本です。日本では北海道から沖縄まで自生していますが、食用には、地面からひょっこり出た蕾の「花みょうが」と、若い茎「みょうがたけ」を用います。 食用に栽培しているのは日本だけで、日本でしか食べられない野菜のひとつです。

群馬県では、夏期に冷涼な中山間地域を中心に古くから栽培され、夏秋みょうがとして出荷されています。その収穫量(施設栽培と露地栽培の合計:農林水産省、平成26年産地域特性野菜生産状況調査)の第1位は86.8%を占める高知県(4,901t)で、第2位の秋田県(223t)、第3位の奈良県(176t)についで群馬県は第4位(92t)です。特に、高崎市(旧倉淵村)で生産されるミョウガは、「陣田ミョウガ」と称され人気があります。

成  分

ミョウガは約95%が水分で、低エネルギー(12kcal/100g)ですが、高血圧の予防効果が期待できるカリウム(210㎎/100g)が豊富に含まれています。

ミョウガの赤桃色の成分は、マルビジンというアントシアニンの一種で、抗酸化作用があります。その香りにはα-ピネンという精油成分が含まれていて、発汗作用で熱を冷ましたり、呼吸を整え、血液循環を促進して血液をサラサラに保つ作用があります。さらに、胃の働きを活性化し、腸内環境を整える効果があるので、夏バテによる食欲減退時にも有効です。他には、抗炎症作用や抗菌作用をもつカンフェンという香り成分が含まれていて、のどの痛みを和らげます。

また、ミョウガに含まれる辛み成分は、ミョウガジアールと呼ばれ、血行を良くして冷えを緩和する働きがあります。

選び方と料理

ミョウガは、丸々として身が締まり、やや紅色がかった色つやが美しいものを選びます。

そうめんや冷ややっこなど、夏の料理に欠かせない香味野菜の一つですが、吸い物やみそ汁、揚げ物にしてもおいしくいただけます。ただし、ミョウガの香り成分は揮発性が高く、加熱すると香りが薄れてしまうので、使う直前に刻むようにしましょう。また、水にさらしてアクを抜く場合も、香りを残すため長時間さらさないようにしてください。さっと湯通ししてから酢に漬けると赤みが増し、色調がより鮮やかになります